一流に学ぶ 日本女性初の宇宙飛行士―向井千秋氏
(第5回)石原裕次郎の受け持ち医に =大スターにも身構えず
「急に呼び出されることはしょっちゅうあるから、約束は妹ぐらいしかしなかった。妹なら急に病院に行かなきゃいけないと言えば、分かってくれる」と話す。
腰痛を訴えて整形外科を受診した患者が、心臓外科に移ってきた。痛みの原因が解離性大動脈瘤(りゅう)らしいという。カルテを見ると、氏名は石原裕次郎とある。「私、あれは芸名だと思ってたから『この人、石原裕次郎さんと同じ名前じゃない』って言ったら、看護師が『本人です』って」
主治医は教授で、向井氏は受け持ち医として病棟に泊まり込んだ。しかし患者が国民的大スターだからといって特に身構えることもなかった。「患者さんって、総理大臣でも隣のおじさんでも幼稚園児でも、誰でも自分の家族だと思って診ればいいっていう考えだった」。いつも通りに接していたという。
向井氏は病状の説明を求められ、病室にいた男性に話をした後で、看護師に「今の人、どっかで会ったことがある」と言った。看護師は「あれは先生、渡哲也っていうんですよ」と答えたという。当時はテレビを見る時間もなかったと振り返る。
(2017/11/21 11:01)
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