一流に学ぶ 日本女性初の宇宙飛行士―向井千秋氏

(第11回)宇宙飛行に見る加齢変化 =究極の予防医学、病気にも可能性

スペースシャトル「ディスカバリー」のデッキ内で小休止する向井千秋さん(1998年11月撮影)。米航空宇宙局(NASA)提供【AFP=時事】

 2度の宇宙飛行を経験した向井千秋氏が、ライフワークとして取り組んでいるのが、宇宙医学の研究である。宇宙飛行士の健康を守り、安全に飛行させることがそもそもの研究の始まりだが、地上でごく普通の暮らしを営む一般人にも大いに貢献する分野だという。

 「宇宙医学は究極の予防医学なんですよ。もともと元気でまったく医者も要らないような宇宙飛行士が、宇宙に行くと、筋肉が衰え、骨量も低下して病気もどきになって帰ってくる。宇宙飛行は加齢変化の加速モデルなんです」

 地球に帰還して宇宙服を脱いだ飛行士が、両脇を抱えられたり、車椅子やストレッチャーで運ばれたりする様子を見たことがある人も多いだろう。宇宙では上半身に移動していた体液が、地上に戻ると引力に引っ張られて一気に下半身に流れ込んで、めまいを起こすという。

 宇宙からの中継でテレビ画面に映った飛行士の顔がむくんでいるのは、下半身の体液が上半身に移動するため。宇宙では脚が細くなり、内臓の位置も上がるためウエストもくびれて細くなる。反対に地上に降りると元に戻って、起立性低血圧(脳貧血)の状態になってしまう飛行士が多い。

 「帰還1日目は、体のバランスがうまく取れなくて、歩こうとするとすぐに転んでしまう。翌日になると、前の日に登山でもしたような筋肉痛を脚に感じました。宇宙では筋肉をほとんど使わないので、重力のある世界でただ普通に歩くだけでも筋肉痛が起こってしまうのです」

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