「医」の最前線 緩和ケアが延ばす命

どこで受けるのか-緩和ケア〔4〕
終末期と治療中で異なる態勢

 緩和ケアはどこで受ければいいのでしょうか。「緩和ケア」という言葉は、大きく分けて二つの意味で使われることがあり、それが混乱の原因になっています。

 その一つは、がんの高度進行期や終末期の療養場所としての緩和ケア。主として緩和ケア病棟やホスピスなどを指し示します。もう一つは、がん発見後に治療と並行して、より良い生活の質の確保や病気とうまく付き合うことを目的に病気自体の治療と併せて早期から行われる緩和ケアです。

二つの緩和ケア(大津秀一氏提供)

 ◇入院留保のケースも

 前者の、終末期の対処やみとりを目的とした緩和ケアを担う病棟やホスピスは国の政策で、最終末期の入院及び症状緩和のための「短期入院」に特化した施設に変容しつつあります。

 このため、いつ入院のために行動したら良いかが難しくなっています。地域差が目立ちますが、都市部では入院予約面談の待ち時間も長く、そこから入院に至るまでの時間も長くなり、最近は入院が保留となることもあります。

 そのため、かかっている病院の緩和ケア部門に手助けしてもらう方が良いと考えます。

在宅医(大津秀一氏提供)

 ◇一人ひとり解を探る

 在宅でできるだけ長く過ごされたい方も少なくないでしょう。在宅緩和ケア医の選び方を説明します。一般に、死期が迫った際は手厚い緩和ケアが必要になります。「緩和ケア病棟で最後を過ごしたら良いのか、家で過ごしたら良いのか」とよく質問されますが、どちらがいいかは人それぞれ違うと言えます。

 なぜなら、家庭環境や住環境、介護力、苦痛の程度、個々人の要望などが千差万別だからです。一人ひとり、解を探っていくことが大切なのです。

 けれども一点、譲ってはいけないところがあります。在宅でがんの緩和をケア受ける場合は、緩和ケアやみとりの力量を有した在宅医療機関、在宅医にお願いするという点です。

 国の政策もあり、在宅緩和ケアをうたっている診療所、在宅医とも増えていますが、それら全てで本当に実効性がある緩和ケアを提供しているわけではありません。安心して頼める診療所や在宅医を探すため、紹介元の病院に意向をしっかりと伝えるようにしてください。

 これらは主として終末期やがんの高度進行期にお願いする緩和ケアです。

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