「医」の最前線 緩和ケアが延ばす命

どこで受けるのか-緩和ケア〔4〕
終末期と治療中で異なる態勢

 ◇チームでケア

 次に、末期ではなくても治療中に受けられる緩和ケアについてです。最近は大きな病院だと、入院時が中心の「緩和ケアチーム」や外来患者に対応する「緩和ケア外来」が整備されてきています。

 緩和ケア外来は、自施設に通院中の患者しか受け入れていない施設が多かったのですが、近年は他施設で治療中の患者も受け入れる医療機関が出て来ました。

緩和ケアチーム(大津秀一氏提供)

 入院中に希望に応じて関わる緩和ケアチームは、「チーム」という名前からも分かるように、医師だけが所属しているわけではありません。

 まず身体の問題を専門とする医師と精神の問題を専門とする医師、がん患者の看護に関する専門資格・認定資格を持つ看護師、それに薬剤師と栄養士、施設によっては臨床心理士などさまざまなスタッフが参加しています。

 このような構成になるのは、一人の方が抱えている問題は多様で、一人の医師がすべてを解決するのはしばしば困難だからです。それぞれの問題を得意とするさまざまなスタッフが必要に応じて関わって、患者さんを支えるのです。

 ◇チャプレン・臨床宗教師

 例えば、次のようになります。「身体のつらさ」には緩和ケア医など身体の苦痛の専門家が担当し、「精神のつらさ」については精神科医(特に精神腫瘍科の医師)や臨床心理士などが応じます。さらに「社会的なつらさ」の中でも経済的問題ならば医療ソーシャルワーカー(MSW)の出番です。

 「スピリチュアルなつらさ」にはそれぞれの医療者のほか、数は多くありませんが施設によっては「チャプレン」=用語説明=や臨床宗教師なども携わります。他に、薬の問題ならば薬剤師、食事の問題ならば栄養士といった形で、ニーズに応じて対処する緩和ケアチームが整備されています。

 また退院後も、あるいは入院していない患者さんも、緩和ケア外来で継続的にサポートするという仕組みです。

緩和ケア病棟(イメージ、大津秀一氏提供)

 ◇特化した診療所

 最近では、治療の段階から、緩和ケアが充実している病院を決めたいという方も増えてきています。それは十分納得できる考えです。困った時に実効性のある専門チームに相談できるのとそうでないのでは、天と地ほど違うと考えます。

 とは言うものの病院ごとに緩和ケアチームや緩和ケア外来がどの段階から実質的に関わってくれるかは、かなりの差があります。私自身は、かかりつけ病院でなかなか緩和ケアにかかれないという現実をこれまでたくさん聞いてきたため、それに特化した診療所を立ち上げました。

 ただ、かかっている病院で緩和ケアが受けられればそれに越したことはありません。ぜひがん相談支援センターや総合案内に尋ねるか、あるいは各病院のホームページ等で確認してみると良いでしょう。(緩和医療医・大津秀一)

【用語説明】チャプレン
教会に属さず病院等で働く神父や牧師などの聖職者。日本ではキリスト教系の病院によく配置されているが、一般の病院では珍しい。

大津 秀一氏(おおつ・しゅういち)
 早期緩和ケア大津秀一クリニック院長。茨城県出身。岐阜大学医学部卒。緩和医療医。京都市の病院ホスピスに勤務した後、2008年から東京都世田谷区の往診クリニック(在宅療養支援診療所)で緩和医療、終末期医療を実践。東邦大学医療センター大森病院緩和ケアセンター長を経て、遠隔診療を導入した日本最初の早期からの緩和ケア専業外来クリニックを18年8月開業。
 『死ぬときに後悔すること25』(新潮文庫)『死ぬときに人はどうなる 10の質問』(光文社文庫)など著書多数

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