こちら診察室 学校に行けない子どもたち~日本初の不登校専門クリニックから見た最前線
不登校の子どもを孤立させない
~教育・福祉・地域でつながる支援リソース~ 【第10回(最終回)】
連載の最終回となる今回は、医療の視点を離れ、不登校のお子さんとその家族が活用できる多様な支援リソースをご紹介します。
医療現場での経験から、医療支援だけでは十分でないケースが多いことを実感しています。現代の核家族化社会では、特にひとり親家庭で子どもが不登校になった場合、学校以外の居場所確保と支援ネットワークの構築が非常に重要です。多くの保護者が「学校以外の選択肢はあるのか」「どのような支援が利用できるのか」と不安を抱えています。

不登校の子どもの支援サービスをどう組み合わせると良いかという情報は意外にも整理されていない
実は不登校の子どもたちのための支援サービスは教育や福祉などさまざまな分野に存在していますが、それらがどのような状況で効果的か、どう組み合わせると良いかという情報は意外にも整理されていません。
不登校の子どもへの支援は、その状況や段階によって必要なアプローチが異なります。
この記事では、臨床現場での多くの事例経験を基に、不登校の各段階と、それぞれの時期に適した支援サービスについて詳しく解説します。医療機関での支援と合わせて、これらのサービスを効果的に活用することで、お子さんの回復への道筋が見えてくることも少なくありません。
なお、ここで以下に出てくる不登校の段階はあくまで分かりやすさのための目安ですので、柔軟に捉えてください。それでは、実際にどのような支援サービスが利用可能なのか、見ていきましょう。
◇ 予防・早期発見段階(不登校の兆候が見られ始めた時期)
不登校は突然始まるわけではありません。多くの場合、幾つかの予兆が現れます。この段階で適切な支援を開始することで、状況の深刻化を防ぐことができる可能性が高くなります。
(主な状況)
遅刻や欠席が増え始める、体調不良の訴えが増える、学校での様子に変化が見られるといった兆候は不登校の初期のサインとして注意が必要です。特に、それまでになかった頭痛や腹痛の訴え、教室に入りづらい様子、友人関係の変化などは心身の不調のシグナルかもしれません。
(推奨される支援サービス)
1. スクールカウンセラー
スクールカウンセラーは学校に配置された心理の専門家です。早期の段階から本人の心理状態を専門的な視点でアセスメント(評価)し、適切な支援方針を提案することができます。
また、保護者の相談にも応じ、家庭での対応方法についてアドバイスを行います。教職員とも連携し、学校全体で支援体制を整えていく役割も担います。基本的に非常勤であるため、面談の頻度が確保しづらいという現実があります。
2. 別室登校の活用
教室という大人数の空間に入ることが難しい場合、別室での学習を選択肢として提供することで学校とのつながりを維持することができます。保健室や相談室など、比較的静かで落ち着ける環境で過ごすことで徐々に学校生活に適応していくことを目指します。学校によって運用の積極性には差がありますが、最も現実的な対処法として認識されています。
(2025/05/12 05:00)
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