こちら診察室 学校に行けない子どもたち~日本初の不登校専門クリニックから見た最前線

不登校の子どもを孤立させない
~教育・福祉・地域でつながる支援リソース~ 【第10回(最終回)】

 ◇支援を実際に組み立てる

 不登校のこどもたちが利用できるサービス資源は教育系、福祉系、行政系、民間系と多岐にわたります。しかし残念ながら、これらすべてを踏まえた個別適切な支援をワンストップで提案してくれる機関は現状では存在しません。教師も教育系サービス以外については詳しくないのが現実です。

 スクールソーシャルワーカーが唯一全体像を理解している存在と言えますが、最終的には保護者自身がそれぞれのサービスについて具体的に調べ、理解を深めていく必要があります。

 また、支援を考える際には、子ども本人だけでなく家族全体の状況も重要な考慮要素となります。保護者の就労状況、きょうだいの有無、日中に家にいる家族がいるのか、その他さまざまな要因を総合的に踏まえて支援を活用していく必要があります。

 不登校に悩む子どもたちは他者との交流自体を避ける傾向にあるものの、子どもの特性に合った(本人が受け入れることができる)サービスに出会うことができれば、今後の社会参加のための大きな支えになることは確実です。

 ◇おわりに

 今回で私の連載は最終回となります。不登校に悩む多くの子どもたちと親御さんたちのためにお伝えしたいことはまだまだあるのですが、いったん筆を置かせていただきます。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。(了)

飯島慶郎医師

飯島慶郎医師

 飯島慶郎(いいじま・よしろう) 精神科医・総合診療医・漢方医・臨床心理士。島根医科大学医学部医学科卒業後、同大学医学部附属病院第三内科、三重大学医学部付属病院総合診療科などを経て、2018年、不登校/こどもと大人の漢方・心療内科 出雲いいじまクリニックを開院。島根大学医学部附属病院にも勤務。

 

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