こちら診察室 学校に行けない子どもたち~日本初の不登校専門クリニックから見た最前線

不登校の子どもを孤立させない
~教育・福祉・地域でつながる支援リソース~ 【第10回(最終回)】

不登校が1年以上継続すると、より専門的で体系的な支援体制が必要となってくる

不登校が1年以上継続すると、より専門的で体系的な支援体制が必要となってくる

 ◇長期支援段階(不登校が長期化している時期)

 不登校が1年以上継続すると、支援のあり方もより包括的なものが求められます。この時期には、学習面での遅れや社会性の発達、将来への不安など、複数の課題が重なってくることが多くなります。そのため、より専門的で体系的な支援体制が必要となってきます。

 (主な状況)

 不登校の長期化に伴い、二次的な課題が顕在化してきます。例えば、昼夜逆転の生活リズムが定着したり、家族関係に難しさが生じたりすることがあります。また、進学や将来の進路に対する不安が強まり、本人も家族も具体的な方向性を見いだせない状況に悩むことが多くなります。

 (推奨される支援サービス)

 1. 発達障害者支援センター

 発達障害者支援センターは、発達障害傾向を持つ不登校の子どもたちへの支援も行っています。特に学習や対人関係、感覚の特性など、さまざまな面での困難さについて専門的な視点からのアセスメントと支援を提供します。

 心理検査などを通じて子どもの特性を総合的に理解し、その子どもに最も適した支援方法を探ってくれます。家族に対しても、子どもの特性に応じた関わり方についての具体的なアドバイスを提供してくれます。

 2. フリースクール

 民間のフリースクールは、従来の学校教育とは異なるアプローチで、子どもたちの学びと成長を支援する民間施設です。近年では、教育機会確保法の制定により、その重要性が法的にも認められています。

 子どもの興味関心に基づいた柔軟な学習プログラムを提供し、少人数制での活動による丁寧な個別対応が特徴です。また、体験学習や野外活動など、実践的な学びの機会も豊富に用意されています。地域にもよりますが、フリースクールでは、在籍校と連携して出席の扱いになる場合もあります。

 3. 市町村、民間単位の「子どもの居場所」提供サービス

 昨今の不登校児童生徒の増加や社会に適応しづらい子どもや若者のための居場所を提供する事業が、公共サービスや民間のサービスとして広がりを見せています。統一した呼び方はないため検索するのが難しい状況ですが、インターネットを通じて丁寧に探せばお住まいの地域で見つけることができます。気軽に参加できるサービスであり、同じ境遇にある友人を見つけることも可能です。

 4. 特別支援学級

 特別支援学級は、通常の学級とは異なり、より個別的な支援が可能な少人数制の学級です。個々の子どもの特性や学習状況に応じた「個別の教育支援計画」を作成し、それに基づいた丁寧な指導が行われ、一人ひとりの学習のペースや理解の仕方に合わせて授業を進められます。

 また、ソーシャルスキルトレーニングなど、社会性を育むための特別な指導も行われます。進路指導においても、子どもの特性や希望を踏まえた丁寧な支援が提供されます。

 5. 特定相談支援事業所によるケアマネジメント

 特定相談支援事業所は、複数の相談事業所にまたがる福祉サービス(放課後等デイサービス、日中一時支援など)を効果的に組み合わせ、包括的な支援体制を構築する役割を担います。

 相談支援専門員が中心となって本人や家族の希望を聞きながら、具体的な支援計画を作成します。また、学校卒業後の就労先の提案や障害年金の利用など人生計画全体についてのアドバイスや支援を受けることができます。


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