白質ジストロフィー症〔はくしつじすとろふぃーしょう〕

 中枢神経の白質を広く障害するもので、遺伝性の病気が多いのが特徴です。

■クラッベ病
 生後6カ月ごろに発症します。常染色体劣性遺伝をします。グリコシルセラミダーゼが欠損し、サイコシンが脳にたまります。
 症状は筋緊張亢進(こうしん)、錐体(すいたい)路徴候陽性、意識混濁、視力低下、難聴です。
 診断はMRI(磁気共鳴画像法)で大脳白質が全体に変化し、末梢神経の伝導速度が下がり、髄液のたんぱくが増加します。

■異染性白質ジストロフィー症
 1~4歳で発症し、常染色体劣性遺伝をする病気です。アリルサルファターゼが欠損するためにスルファチドが脳に蓄積します。
 症状は歩行障害、こわばった歩きかた、構音障害、知能低下です。

■副腎白質ジストロフィー症
 4~8歳で発症することが多く、伴性劣性遺伝すなわち男の子にのみ発症します。血清の極長鎖(ごくちょうさ)脂肪酸が増加し、大脳白質と副腎に機能障害を起こします。
 症状は皮膚色素沈着、副腎機能低下、行動異常、知能低下、四肢のこわばりとまひ、視力低下、難聴、けいれん、呼吸不全です。
 治療は極長鎖脂肪酸の制限食(ロレンツォのオイル)や副腎皮質ステロイド薬を使用します。
 副腎白質ジストロフィー症は国が指定する難病医療費助成制度の対象疾病(指定難病)になっています。

(執筆・監修:一口坂クリニック 作田 学)