慢性鼻炎〔まんせいびえん〕

 慢性鼻炎には肥厚(ひこう)性鼻炎、萎縮性鼻炎、薬剤性鼻炎などが含まれます。
 肥厚性鼻炎とは、慢性の炎症により粘膜(特に下鼻甲介〈かびこうかい〉粘膜)が肥厚して鼻閉が生じる病気です。この病気に対して市販の点鼻(てんび)薬を使う人が多いのですが、点鼻液のなかには血管収縮薬が含まれており、反復して使用すると徐々に効果が弱くなり、その結果使用する頻度が増すという悪循環におちいってしまいます。これを点鼻薬性鼻炎ともいい、慢性化した鼻閉(びへい)をうったえて耳鼻科を受診する人のなかには少なくありません。このようになると、あとは外科的にはれている粘膜を切り取ったり、電気で焼いてちぢめさせるしかありません。
 いっぽう萎縮性鼻炎とは、鼻腔の粘膜が萎縮していくもので原因不明の病気ですが、最近は減っており、2次的に起こってくるものとしては外傷、肉芽腫(にくげしゅ)性疾患、感染、放射線治療によるものがあります。症状は鼻の中が乾いて汚いかさぶたが粘膜に付着するため、鼻閉や悪臭が生じます。原因が不明なため根治的な治療法はなく、さまざまな治療法がためされています。
 薬剤性鼻炎は、さきに述べた血管収縮薬の点鼻薬のほか、ある種の精神安定薬や利尿薬(尿を出しやすくする薬)などの服用により鼻閉が生じる状態を指します。これらの薬の使用をやめれば症状は改善しますが、目的があり使用している薬ですので、処方してもらっている主治医とよく相談をする必要があるでしょう。

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