その他の鼻腔の病気〔そのたのびくうのびょうき〕 家庭の医学

■血管運動性鼻炎
 血管運動性鼻炎とはアレルギー性鼻炎と類似する症状があるものの、原因となる抗原が同定されないものです。
 症状は鼻症状のみで、目やのどのかゆみをうったえることは、まずありません。中年以上の女性にやや多い傾向があり、急激な温度変化に全身がさらされると症状、特に水様性鼻漏(びろう)と鼻閉(びへい)が出現します。鼻腔(びくう)内を観察すると粘膜は発赤しはれています。
 自律神経の異常が主因とされていますが、調べていないアレルゲンが原因となっている可能性や血清中の抗原特異的IgE抗体が産生されないにもかかわらず、鼻粘膜局所でIgE抗体が産生され、鼻過敏症状を呈するlocal allergic rhinitisの可能性もあるといわれています。温熱療法がよいともいわれますが、アレルギー性鼻炎と同様に、抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用副腎皮質ステロイド薬が治療として用いられることが多いです。

■鼻腔異物
 鼻腔の異物の患者は、そのほとんどが子ども(それも幼児)であり、好奇心で自分の鼻の中に入れた物が取れなくなって起こります。異物の種類はさまざまで、豆、石、玩具の部品、ボタン、ティッシュペーパーなどです。たいていは親が気づき、家庭で除去できなければ早い時期に耳鼻科を受診するので大事には至りません。
 しかし、ときどき異物とはわからずに悪臭を伴う黄色や血液のまじった鼻漏が出てから耳鼻科を訪れる場合があります。これは異物がもとで感染を起こしてしまったのです。耳鼻科を受診し鼻内を観察すれば異物の有無が判明するので、実際にあれば鼻内を麻酔して異物を摘出します。
 小さな玩具が異物となっていることが多いのですが、ボタン型の電池が異物になった場合は粘膜に障害をひき起こすことが多いので注意が必要です。
 もし異物が疑われ専門医を受診する場合には、異物と同じ物を持参すると診断や摘出法の検討にたいへん参考になります。

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