頸椎捻挫(むち打ち損傷)〔けいついねんざ(むちうちそんしょう)〕

 自動車に乗っていて、追突、衝突あるいは急停止して、重い頭が振り子のように前後に動き、くびが鞭(むち)のようにしなることで起こります。むち打ち損傷は、このようにしなるために名づけられたもので、最近は頸椎捻挫といわれています。
 くびが通常以上に動き、くびを支えている筋肉や靱帯(じんたい)、まれに神経や血管が損傷されて症状が出ると考えられています。鎖骨より頭側にけががある場合、約15%にくびの骨(頸椎)や靭帯の損傷がみられます。
 交通事故のくびのけがには、
 1.手足にいく神経(脊髄〈せきずい〉)が損傷され、まひが起こる脊髄損傷
 2.手にいく神経のみが損傷され、上肢のみのまひが起こる神経根損傷
 3.神経が損傷されることがなく、くびの症状のみの頸椎捻挫(むち打ち損傷)
があります。
 頸椎捻挫ではめまい、耳鳴り、吐き気、まれに目の疲れ、涙やつばが出る、集中力がなくなるなどの自律神経症状が起こることもあります。自動車はシートや背もたれの上のまくら(バックレスト)の改良によって衝撃が吸収され、以前と違って症状も起こしにくくなってきています。
 頸椎捻挫は、1カ月以上症状が続くことはほとんどなく、3カ月以上続くことはほぼないと考えてよいです。

【参照】
 くびの病気:頸椎捻挫(むち打ち損傷)
 骨・関節・脊椎・筋肉の病気:頸椎捻挫

(執筆・監修:八戸市立市民病院 事業管理者 今 明秀)
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