頸椎捻挫〔けいついねんざ〕 家庭の医学

 追突事故や転倒による頭部打撲などにより、頸椎に外力が加わり頸部痛を生じたものが頸椎捻挫で、そのうち、特に追突事故による頸椎の過伸展によるものはむち打ち損傷と呼ばれます。
 軽い場合にはくびの筋肉や靱帯(じんたい)、椎間関節の軽度の損傷が疑われますが、重症のものでは神経根や脊髄の部分損傷が疑われるものも含まれます。神経根や脊髄が障害されると、頸部痛ばかりでなく手や指の痛みやしびれ、筋力低下がみられます。脊髄が障害された場合にはMRI(磁気共鳴画像法)検査により診断が可能ですが、そのほかのタイプではX線検査やMRIで通常異常はみられません。
 また、頸部の交感神経が障害されると、めまいや耳鳴り、目がかすむなどの症状があらわれます。受傷直後は頸部の比較的安静を保ちますが、頸椎カラーの装着は短期間のみとします。症状により消炎鎮痛薬や筋弛緩(しかん)薬の内服、リハビリテーションをおこないます。

■寝ちがえ
 寝ちがえは、睡眠中に生じた頸椎捻挫と考えられます。

■筋性斜頸
 くびが片方に傾いている状態を斜頸といいます。もっとも多くみられるのは筋性斜頸です。くびの前面を斜めにはしっている胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)という筋肉が、生まれたときからかたくつっぱるために起こります。胎児の子宮内での位置が発生に関係し、骨盤位分娩児や難産で多くみられるとされています。
 生まれたばかりの赤ちゃんがいつも一方を向いていて、顔を向けるのと反対のくびにしこりがあれば、筋性斜頸が疑われます。90%の子どもでは自然に治ります。片方にだけくびが向かないように指導します。
 斜頸がいつまでも治らないと、顔や頭の変形をきたすことがあります。2歳をすぎても斜頸が治らないようなら、手術をして胸鎖乳突筋のつっぱりを取り除く必要があります。

【参照】外傷:頸椎捻挫(むち打ち損傷)

医師を探す