TOPPANホールディングス株式会社
TOPPAN、医療従事者の説明業務支援サービス「DICTOR(R)」提供開始
TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPAN株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:齊藤 昌典、以下 TOPPAN)は、北海道大学病院 医療・ヘルスサイエンス研究開発機構(所在地:北海道札幌市、機構長:佐藤 典宏、以下 北海道大学病院HELIOS)と、デジタル技術を活用して、医師や看護師等の説明業務を支援する医療DX技術基盤の研究開発を2022年より行ってきました。
このたび、その研究開発の成果としてTOPPANは、医師等のデジタルクローンを簡単に生成し、患者やその家族に対して医師本人の顔と声で医療行為等の説明を行う動画を、テキストデータや画像を用いて自動生成をするWebアプリケーション「DICTOR(R)」(読み:ディクター)を開発。2024年7月17日(水)より全国の医療機関に向けて提供を開始します。
提供開始に先立ち、北海道大学病院入退院センターと北海道大学病院消化器外科で行われた実証では対面説明時間が約40%短縮されました。
「DICTOR(R)」アプリケーションイメージ
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背景
良質かつ適切な医療提供の観点から、医師の働き方改革について議論が進み、2024年4月から医師に対する時間外労働の上限規制が施行されました。厚生労働省「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」(※1)においても、医師の労働時間短縮への方策として医療従事者の合意形成のもとで業務の移管や共同化(タスクシフト・タスクシェア)が強調されています。
一方で、患者の高齢化や医療安全への意識の高まりなどから、医療現場における説明業務の重要性が増しています。DVDやタブレット端末を用いた説明動画等もすでに導入されていますが、ナレーション音声の追加や動画編集といった作業時間、制作費用などの負担が大きいことが課題でした。また、患者に個別対応した動画制作は困難であり、説明動画は一般的な内容のみに留まっていました。
このような中でTOPPANと北海道大学病院HELIOSは、テキストデータや画像を用いて説明動画を自動生成するWebアプリケーション「DICTOR(R)」を2023年9月に開発し、有用性の検証を進めてきました。このたび、全国の医療機関に向けて正式に提供開始することで、「医師の働き方改革」の推進と患者への説明内容の理解度向上に貢献します。
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「DICTOR(R)」の特徴
「DICTOR(R)」は、医師等のデジタルクローンを簡単に生成し、患者やその家族に対して医療行為等の説明を行う動画をテキストデータから自動生成し、再生をするサービスです。
医師は予め自身の音声と顔動画を登録し、デジタルクローンを生成。患者に対して説明が必要な情報をテキストで入力することで、医師本人の声と顔で説明動画が生成されます。
1. 医療従事者本人の顔と声でリアルなデジタルクローンを生成
医師が初めて利用する際に、約20分のサンプル文章を読み上げ、1分間の顔動画を登録すると、まるで本人が話しているかのようなデジタルクローンが自動生成されます。これにより、入力したテキストや定型文を自然な発音で話すことが可能です。
2. 医療従事者の手元で動画が簡単に生成可能
従来、動画撮影になると撮り直しが発生することがありましたが、本アプリケーションではテキスト入力や用意されている定型文によって簡単に動画を生成することができます。専門用語等の呼称変更への対応が必要になった際には動画生成後であっても文章を修正でき、さらに任意の画像や動画を差し込むことも可能です。
3. 患者への動画紐付けが可能な視聴モードを搭載
事前に院内で使っている診察券番号等と、生成した動画を紐付け設定できるため、患者側は簡単に「DICTOR(R)」の視聴モードで動画視聴が可能になります。医療現場での術前説明や検査説明といった専門性の高い説明から、入退院説明や患者家族向けの手続き説明といった施設内での他説明業務まで、最適化された動画でサポートが可能になります。
4. 視聴実績が確認可能
患者の視聴実績をシステム内で管理可能で、どの動画を何時何分に視聴完了したかを確認できます。さらに動画の説明内容と視聴完了日時記録のPDFデータが出力できるので、診療録への保存にも対応しています。
「DICTOR(R)」アプリケーションフローイメージ
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「DICTOR(R)」の導入費用
・基本価格:年間120万円~/1名の声/顔のデジタルクローンを作成し、説明に利用する場合。
※年間契約のみ。視聴回数は無制限。デジタルクローン及び説明動画追加作成費用は別途。
※別途、動画作成の支援も行います。その他、施設規模に合わせたプランも用意しています。
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「DICTOR(R)」紹介サイト
https://www.toppan.com/ja/joho/dictor/
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「DICTOR(R)」の導入事例について
実施期間: 2023年1月~2023年7月、2024年2月~2024年4月
北海道大学病院の入退院センターや診療科(麻酔科・消化器外科I)において試験的に導入し、その導入効果について主に時短効果、説明満足度、信頼度に与える影響などについて調査を実施しました。期間中600名以上の患者・家族がデジタルクローン説明動画を視聴したところ、説明動画の視聴により信頼度が高くなる傾向がみられ、説明動画の導入事例では対面説明時間が約40%短縮されました。今後、他の診療科や他機関等でのユースケースを増やし、導入効果について多角的な調査を進めていきます。
【実証1】
実施場所:北海道大学病院 麻酔科
実証内容:デジタルクローンによる説明動画についての意見集約
実証結果:麻酔説明は通常、麻酔医と患者の面識がない中で実施されるが、デジタルクローンによる説明について、およそ9割(89名)の患者から「麻酔医への親近感がわいた」「麻酔の理解が深まった」「他の施設でも同様の説明動画が欲しい」との意見が得られた。
【実証2】
実施場所: 北海道大学病院入退院センター
実証内容: 「DICTOR(R)」の導入による待ち時間や説明時間の効率化を検証
実証結果: 説明動画なし183名と説明動画あり151名の使用調査(計334名)では、説明動画の導入により患者待ち時間が約4分、対面説明時間(対面着座業務時間)が40%短縮。対面着座時にデジタルクローンによる説明動画を視聴してもらい、その間に他の事務作業を行うといった運用上の工夫も見られ、時短以上の効果を確認。
【実証3】
実施場所: 北海道大学病院消化器外科I
実証内容: 「DICTOR(R)」の導入による説明時間の効率化について検証
実証結果: 肝臓手術の術前説明で14名中の9名に担当医師のデジタルクローン説明動画が使用され、「DICTOR(R)」使用群で40%程度の時短効果を確認。
■ 今後の展開
TOPPANは「DICTOR(R)」を2026年までに、100以上の医療機関への導入を目指します。そして、「医師の働き方改革」の推進と、患者への説明内容の理解度向上を両立させることで、医療の質向上に貢献していきます。
※1 厚生労働省「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07275.html
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以 上
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(2024/07/17 10:14)
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