尿路結石の予防法
~食習慣変えリスク下げる(順天堂大学 磯谷周治准教授)~
激しい痛みを伴う尿路結石。男性の7人に1人、女性の15人に1人が生涯に1度は罹患(りかん)する。その原因や予防法について、順天堂大学医学部(東京都文京区)泌尿器科学講座の磯谷周治准教授に聞いた。
尿路結石とは
◇自然排出かレーザーで
尿路結石は、腎臓から尿道までの尿路に、尿中のシュウ酸や尿酸の成分が結合してできる石のこと。結石が腎臓にとどまる間はあまり痛みがなく、腎臓から細い尿管に移動するとき激痛が生じる。「結石が尿の流れをせき止め、たまった尿が腎臓を圧迫して腫れるためです」
治療としては、結石の大きさが5ミリ以下の場合は、水分補給で体外に排出させる。5ミリ超~10ミリの場合は尿道から内視鏡を入れ、レーザーで砕石して取り出す手術が行われる場合がある。結石が2センチ以上で腎臓にある場合は、背中に小さな穴を開け内視鏡を入れる。大きな結石であれば、レーザーと内視鏡を組み合わせた手術が行われる。
◇肥満には要注意
「肥満の人は尿酸やシュウ酸の濃度が高くなりやすく、発生リスクが上がります。高血圧や糖尿病、脂質異常症などがある人も尿路結石ができやすいので、偏りのない食事と適度な運動が大切です」
ぼうこう炎や腎盂(じんう)腎炎、頻尿や尿失禁、前立腺肥大などの他、骨粗しょう症やステロイド薬を長期間服用している人も尿路結石ができやすい。
予防法として「食事以外に、1日2リットル以上の水分補給を。コーヒーや緑茶には結石の原因になるシュウ酸が含まれるため、水や麦茶、ほうじ茶がいいでしょう」と助言する。
プリン体を多く含むレバーや肉類は、分解されると尿酸になるため、食べ過ぎに注意。アルコール飲料もプリン体が多いので、ビールなら500ミリリットル、比較的プリン体が少ないとされる日本酒なら1合程度を目安にしたい。塩分の取り過ぎも尿中のカルシウムを増やし、シュウ酸と結合して結石ができやすくなる。
シュウ酸の多いホウレンソウやタケノコは、牛乳や乳製品、小魚、大豆製品などカルシウムの多い食品と一緒に食べるとよい。シュウ酸は腸内でカルシウムと結合し、便として排出される。
磯谷准教授は「腰や背中に激痛が起きて、血尿があるときは尿路結石が疑われます。我慢すると発熱したり、腎機能が低下したりすることもあります」と注意喚起する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2025/01/07 05:00)
【関連記事】