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【全国アンケート調査結果】「子どもの意見表明等支援事業を実施している」自治体77%(47地域)。昨年度に続き「意見表明等支援員の不足」「予算関連」の課題を抱える自治体が多数

NPO法人全国子どもアドボカシー協議会
2024年度「子どもの意見表明等支援事業に関するアンケート」調査結果報告




NPO法人全国子どもアドボカシー協議会(所在地:福岡県福岡市城南区、理事長:相澤 仁)は、大分大学権利擁護教育研究センター協力のもと、全国の児童相談所設置自治体79自治体(47都道府県、32市区町村)を対象に、「子どもの意見表明等支援(子どもアドボカシー)事業」の実施状況や課題を把握するためのアンケート調査を実施しました。その結果、77.0%(47自治体)が事業を「実施している」と回答し、約8割の自治体が事業に取り組んでいることが分かりました。一方で、昨年度の調査に続き、支援員の確保や予算不足、関係機関との調整など、事業運営における課題が依然として解決されていないことも浮き彫りになりました。

調査背景
本調査は、「子どもの意見表明等支援事業」の実施状況を把握し、アドボケイト委嘱・委託団体(候補を含む)の課題を把握することを目的としています。全国子どもアドボカシー協議会では、子ども・若者参画を中心とした「子どもアドボカシー(意見表明等支援)」を全国へ拡げるための活動をしています。

全国子どもアドボカシー協議会で実施している、「子どもの意見表明等支援(子どもアドボカシー)事業」普及のための取り組み
今年度は昨年度に続き、子どもアドボカシー事業の取り組みが進んでいない地域においても、社会的養護を受けている子どもも、等しく意見表明権を行使できる基盤をつくることを目的として、子どもアドボケイト(意見表明等支援員)を養成する講座や、子どもアドボカシー事業の導入/導入して間もない自治体・民間団体などを対象に、事業の準備や実施に関するご相談にお答えする「子どもアドボカシースタートアップサポート」を実施。また、意見表明等支援(子どもアドボカシー)事業の実践者や関係者向けに、養成・研修のためのテキスト「こどもアドボカシー活動の手引き」を発行しました。

【こどもアドボカシー活動の手引き】https://www.child-advocacy.org/activities/15617
【子どもアドボカシースタートアップサポート】https://www.child-advocacy.org/activities/15079
【子どもアドボケイト(意見表明等支援員)養成講座】
現在、子どもアドボカシー講座in愛媛の受講者を募集しております。
愛媛講座(養成編):https://www.child-advocacy.org/activities/17396
子どもアドボカシー基礎講座の受講者も随時募集しております。
基礎講座:https://www.child-advocacy.org/activities/17081

アンケート実施内容
- 調査対象:児童相談所設置自治体79自治体(47都道府県、32市区町村)の「子どもの意見表明等支援事業」の実施者
*こども家庭庁HP児童相談所一覧 (2024.10.1時点)
https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/jisou-ichiran#hokkaidou
- 回収数:77.2%(61自治体)
- 調査方法: オンラインで実施(回答票URLをメール送信し、不明点は電話で確認した)
- 実施期間: 2024年10月2日~11月15日


調査結果サマリー
- 事業の実施状況
- - 77.0%(47自治体)が事業を実施中、うち約7割が民間団体に委託
- 意見表明等支援員の属性
- - 約8割が女性、年代は50代以上が最多
- - 意見表明等支援員の数は、1~10人で活動しているとの回答が52.8%で最多
- 支援員の活動状況
- - 一時保護所や児童養護施設を中心に活動している自治体が多数
- - 頻度は、週1回から年1回までと地域差が大きい
- 事業の課題
- - 支援員の不足、予算不足、関係機関との調整が昨年度に続き課題となっている
- - 離島派遣や施設間での温度差の課題も指摘されている
- 育成・報酬
- - 意見表明等支援員の研修については、事前・事後研修を実施している団体は5割にとどまり、研修体制が十分に整備されているとはいえない
- - 報酬は、ほぼ全団体で支給されているが、弁護士への報酬額はそれ以外の者に比して高いことが示された
- 運営体制と連携
- - 児童福祉審議会での「こどもの意見表明を審議する権利擁護部会等」の設置については、8割以上の自治体が設置
- - 運営体制としてスーパーバイザー、トレーナー、コーディネーターの配置については、いずれの職種も5割を超えておらず、研修についても十分ではない

▶調査結果レポートhttps://drive.google.com/file/d/1GkBSwCJj8ez4Y8nSFnnYCuAmjILXRaUG/view?usp=sharing

調査結果詳細
1.「子どもの意見表明等支援事業」の実施状況
児童相談所設置自治体における「子どもの意見表明等支援事業」の実施状況を見ると、61自治体のうち77.0%(47)は「実施している」と回答し、21.3%(13)は「実施していないが、整備に向けて準備している」、1.6%(1)は「実施する予定はない」と回答した。約8割の自治体が事業を実施しているという結果が示された。また、活動する実施主体は、児童相談所設置自治体から民間団体への委託等が69.6%(39)と最も高く、児童相談所設置自治体から個人へ委嘱は30.4%(17)であった。委託されている民間団体の属性を見ると、「アドボカシー事業のみを実施している法人」が28.6%(8)と最も多く、次に「アドボカシー事業を含む複数のこどもに関する事業を実施している法人」25.0%(7)が多かった。





2.意見表明等支援員の属性
意見表明等支援員の人数を階級別に見ると、1~10人が52.6%(20)と最多であり、次に、11~20人(4)が15.8%、21~30人と31~40人がそれぞれ10.5%(2)であった。40人以下が89.4%(28)であり、多くの団体が少数の支援員で活動していることが明らかになった。また、所属する意見表明等支援員の性別では、女性が80.5%(541)と最も多く、年代別に見ると、50代以上が48.8%(282)と最も多い年齢層であった。



3.支援員の活動状況
意見表明等支援員の活動場所は、一時保護所が91.3%(42)と最も多く、児童養護施設71.7%(33)と合わせて実施団体の主な活動場所となっている。意見表明等支援員の活動頻度は団体によってまちまちであり、「一時保護所:1~6箇所(毎週、隔週、月1~11回、年1回、随時)」「児童養護施設:1~11箇所(毎週、月1~3回、各月、年2回、随時)」と、毎週から年1回までかなり幅があることがわかった。



4.事業の課題
活動の課題については、意見表明等支援員の確保が最も高く51.0%(25)であった。次いで予算関連が46.9%(23)、続いて児童相談所、児童養護施設、里親等との協力促進・関係調整が44.9%(22)であった。個別の課題をみると、「離島派遣時の航空機・宿泊手配による予算への影響」「施設や意見表明等支援員等での事業に対する温度差」などの課題が寄せられた。



5.育成・報酬
事前研修(養成研修:基礎講座、養成講座等)と活動後研修(講義、定例会、SV会議等)の実施状況を確認した結果、「事前研修と活動後研修を団体で実施している」が50.0%(26)で最も多かった。一方、「研修実施の目途が立っていない」19.2%(10)であり、研修体制の確立が課題であることが示唆された。意見表明等支援員の報酬については、「支給している」が95.2%(40)、「支給していない」のは僅か2.3%(1)であった。報酬額は、団体ごとにまちまちであったが、弁護士への報酬額はそれ以外の者に比して高かった。



6.運営体制と連携
事業実施・準備中の自治体において、こどもの意見表明を審議する権利擁護部会等が「設置されている」のは82.5%(33)であった。一方、意見表明等支援活動の運営体制として、SV(スーパーバイザー)、トレーナー(養成プログラムの企画・提案などを行う人)、コーディネーター(アドボケイト派遣や、意見表明に関して、こども・関係機関・アドボケイトの調整を行う人)の配置について確認した結果、「コーディネーターを配置している」44.7%(21)が最も多く、次に「SVを配置している」40.4%(19)、少数であるが「トレーナーを配置している」ケースも12.8%(6)あった。SV、トレーナー、コーディネーターを設置している場合、担当者への研修の有無は、「研修を実施していない」39.0%(16)が最も多かった。



今後の展望
本調査結果より、活動対象施設の拡充、支援員の確保、予算の増加に加え、研修体制の整備や連携体制の構築が喫緊の課題であることが分かりました。
全国子どもアドボカシー協議会では、すでに実施している意見表明等支援員の養成研修の継続実施も含め、子ども・若者の声を聴く環境を整えるための支援を検討していきたいと思います。

NPO法人全国子どもアドボカシー協議会について
全国子どもアドボカシー協議会は、「子どもの声を大切にし、ともに生き育ちあう社会の実現」を理念に2022年3月に設立しました。
【組織概要】
組織名:NPO法人全国子どもアドボカシー協議会

役員:理事長 相澤 仁、他理事14名

事業内容:
(1)子ども・若者によるアドボカシー事業
(2) 子どもアドボカシー活動を推進する団体・個人の交流・研鑽事業
(3)独立アドボケイトなど人材養成及びプログラム開発事業
(4) 子どもアドボカシーに関わる調査研究及び提言事業
(5) 子どもアドボカシーに関わる情報提供及び広報事業
(6) その他この法人の目的を達成するために必要な事業

設立: 2022年3月27日

HP:https://www.child-advocacy.org/



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