受動喫煙は片頭痛を誘発
~マウス実験で異常現象(慶応大学 滝沢翼専任講師)~
女性に多い片頭痛は、ストレスや天候、睡眠不足などをきっかけに起こる。喫煙が引き金になる人もいるが、片頭痛との関連は明らかではなかった。慶応大学医学部(東京都新宿区)内科学の滝沢翼専任講師、井原慶子共同研究員らは、マウスの実験の結果、受動喫煙が雌の片頭痛を引き起こしやすくすることを確認した。

片頭痛を起こし得るきっかけとされる因子
◇生活の質が低下
片頭痛は日本人の8.4%、約12人に1人が持つ病気。特に女性は男性の3.6倍に上る。片頭痛の発生に女性ホルモンが関係するためと考えられている。
滝沢講師によると、片頭痛は一般に頭の片側に起こるが、両側の場合もある。前兆として、視野内にチカチカする光が現れ、視界が遮られる閃輝暗点(せんきあんてん)などが生じることがある。多くの場合、前兆から60分以内に片頭痛が発生し、4時間~3日間続くとされる。光や音、においに敏感になったり、吐き気を伴ったりすることも。特に女性では、頭痛が続く時間が長い傾向も見られる。
「薬物療法で片頭痛の発生を完全に抑えられる人は、1割程度にとどまります。このため、日常生活で片頭痛のきっかけとなる因子について着目することも大切です」
◇喫煙避けて予防を
滝沢講師は「喫煙者は非喫煙者に比べ、片頭痛を起こしやすいという報告がある一方、差がないとの報告もあります。日常の診療で、喫煙後に片頭痛が起こると訴える人がいます。また、禁煙指導をすると片頭痛が改善する患者もいます」と説明する。周囲のたばこの煙を吸う受動喫煙も、片頭痛の発生に関係する可能性があるという。
片頭痛では、前兆の原因とも見られる、脳の神経細胞などに特有の異常現象が生じる。研究グループはマウスに受動喫煙させ、この異常現象が起こりやすくなるかを調べた。その結果、雄ではほとんど変化がなかったが、雌では明らかに異常現象が起こりやすくなった。
滝沢講師は「受動喫煙が、片頭痛の誘発に関わる因子の一つである可能性が示されました。特に女性でその可能性が高いと推測されますが、男性に影響がないわけではありません。片頭痛を予防する上で、喫煙および受動喫煙をしないようにしましょう」と呼び掛ける。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2025/04/28 05:00)
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