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食事だけでは不足する栄養素を補うのが健康食品の本来の使い方だ。しかし、健康食品への過信から誤った使い方をする人が少なくない。「健康食品を薬のように使っている人がいますが、健康食品で病気は治りません。むしろ、悪化させる可能性があります」と昭和大学(東京都品川区)薬学部の川添和義教授は忠告する。
迷ったら医師や薬剤師に相談を
▽誤用が命にも関わる
健康食品は健康に良いとして売られている食品全般を指す。そのうち国が制度を設け、安全性や有効性の規格基準を満たした食品に表示を認めているのが「保健機能食品」で、「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」「機能性表示食品」がある。ほかにも、「健康補助食品」「サプリメント」などの名称がついた健康食品が流通しているが、これらは国が制度化しているものではなく、表示の許可や認証、届け出などの規制はない。
これまでに、成人の約75%が健康食品を利用した経験があるという調査結果が報告されている。必要な栄養は食事で取るのが基本だが、忙しくて食事が不規則になりがちな人にとって、健康食品の利用価値は高い。ただし、保健機能食品も過剰に取るなどの間違った利用法で健康を損ねる可能性があり、場合によっては命に関わることもあるという。
▽薬との相性見極めて
ビタミン、ミネラルの多くは栄養機能食品として機能表示ができる栄養成分だが、健康食品を利用する場合、薬との飲み合わせには注意が必要だ。治療で服用している薬と相性の悪い健康食品を取ると、治療に悪影響が出る。
例えば、血栓症の治療などで血を固まりにくくするワルファリンを服用している人がビタミンKを含む健康食品を一緒に取ると、ワルファリンの効果が弱まってしまう。抗がん剤の中にはビタミンの一種である葉酸によって薬の効果が弱くなったり、必要以上に強くなったりするものもある。新しい抗がん剤が次々に開発されるようになり、健康食品との相性に関する研究が追い付かないのが現状だ。
ミネラルのうちカリウムは腎機能が低下しているとうまく排せつされず、血中にたまって不整脈を引き起こす可能性のある高カリウム血症の原因になる。高齢者は腎機能が低下しやすいため、カリウムを多く含む健康食品は控えた方がいいという。貧血を気にして鉄分の補給に健康食品を取る人は多いが、貧血の原因は鉄分不足だけではない。過剰に取れば余分な鉄が臓器にたまって、鉄過剰症から心不全に至るリスクもある。亜鉛や銅も同様だ。
「本当にその健康食品が必要かどうかをよく考え、迷ったらかかりつけ医や行きつけの薬局の薬剤師に相談してください」と川添教授は助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/04/01 11:00)
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