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厚生労働省は、2016年に国内で新たに発症した結核患者1万7625人のうち59%が70歳以上だと報告している。「高齢者は結核の症状が表れにくいため、受診や診断が遅れ、高齢者施設などでは集団感染につながる恐れがあります」と、近畿中央胸部疾患センター(堺市北区)感染症内科の露口一成医長は警鐘を鳴らす。
せきや熱のほか、全身のだるさや食欲不振なども
▽免疫力の低下で発症
結核は結核菌により起こる感染症。結核患者のせきやくしゃみと共に飛散した結核菌を吸い込むことで感染する。しかし、すべての人が発症するわけではなく、露口医長によると生涯に発症するのは感染者の10%程度だという。感染後、数カ月から2年までの発症例が多いが、数十年後に発症するケースもある。
主な症状は、長引くせきやたん、発熱、呼吸困難などだ。ところが、高齢者ではこのような典型的な症状が見られない人も少なからずいて、全身のだるさや食欲不振などが目立つために結核を疑わないケースがある。露口医長は、高齢者に多い理由を「結核が命を落とす病気と恐れられていた昭和20年代に、感染はしたものの発症せず、加齢や糖尿病などによって免疫力が低下し、結核菌が活動し始めるからだと考えられています」と説明する。
▽半年間は薬を継続
結核が疑われる場合は、肺のX線撮影と、たんに結核菌が含まれていないかを調べる検査を行う。症状が重いときや、症状が軽くてもたんに含まれる結核菌が多く周囲の人を感染させる可能性がある場合には入院が必要となる。
標準治療は4種類の抗結核薬を用いるが、少なくとも6カ月以上の服用が必要である。「薬を飲み始めて1カ月ほどで症状は治まりますが、体内の結核菌を完全に退治しないと再発する危険性があり、毎日欠かさず薬を飲む必要があります」と露口医長。標準薬が効かない耐性結核の場合は、手術も検討されるが、新規治療薬の開発により治療成績は向上してきているという。
「結核の予防法は、体力を維持することと、年齢に関係なく食事と睡眠をきちんと取り、規則正しい生活を送ることです。万一、2週間以上せきが続くといった症状があれば、迷わず受診してください」と、露口医長は早期の受診・治療の重要性を強調する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/04/05 06:00)
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