食欲不振 家庭の医学

 食欲不振という症状は、さまざまな原因で起こります。消化器の病気でなくても、ストレスなどの精神的な要素でも起こります。
 また、発熱があるときも、病気の種類に関係なく食欲がないこともあります。肺結核などの消化器以外の病気でも、はじめに食欲不振をうったえることがあります。歯の病気も食欲不振の原因となることがあります。
 原因としては、胃腸や肝臓など消化器系の病気が重要です。胃がんなどさまざまながんで食欲不振をうったえ、体重が減少します。特に膵がんでは体重減少が顕著です。早めに医師に診てもらうことが必要です。食欲不振で体重が減少するときは、消化器系のがんの存在を念頭に置いて、検査(腹部エコー、内視鏡検査など)をする必要があります。
 肝臓の病気、特に急性肝炎では、全身倦怠(けんたい)感とともに、食欲不振をうったえます。消化器以外の病気、たとえば心疾患や腎疾患、薬物中毒などでも食欲不振になります。神経性食欲不振症という精神的病気では、極端に食欲がなくなって体重がいちじるしく減少します。

■養生法
 食欲不振のときは、睡眠不足、飲酒、喫煙、ストレスなどに注意してみることが大切です。
 規則正しい生活を送り、睡眠を十分にとり、アルコール飲料やたばこを控えめにし、適度な運動をすることが大切です。食事の調理法など、目先を変えることも食欲増進につながります。適度なアルコール飲料は、食欲増進につながります。

(執筆・監修:国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 名誉院長 大西 真)