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血液中の老廃物である尿酸が増えて、その結晶が関節部分に蓄積し、足の指や足首などに炎症と激しい痛みを引き起こす「痛風」。男性に多い病気だが、女性でも発症する可能性がある。両国東口クリニック(東京都墨田区)の大山博司理事長は「尿酸値の高い女性は、痛風以外の合併症のリスクが男性よりも高いことが分かってきました」と話す。
食品のプリン体含有量
▽閉経後は尿酸値が上昇
尿酸は、食事などに含まれるプリン体が体内で分解される際に出る老廃物だ。血液中の尿酸値(単位はミリグラム/dl)が7.0を超える高尿酸血症が続くと、痛風発作のリスクが高まる。
1992年に行われた東京女子医科大学の調査では、痛風患者のうち女性はわずか1.5%だった。女性に痛風が少ない理由として、女性ホルモンに尿酸の排せつを促す働きがあり、尿酸値が上昇しにくい点が挙げられる。だが、閉経すると女性ホルモンの分泌が極端に減るため、尿酸値が上がりやすくなり、50歳を超えると男女で尿酸値の差は小さくなる。
近年、痛風の女性患者数が微増傾向にある。2013年の厚生労働省の国民生活基礎調査では、女性患者の割合は6%だった。大山理事長は「女性で尿酸値が6.0を超えると、心血管疾患による死亡リスクが上昇し、慢性腎不全の発症の危険性も高まることが報告されています」と説明する。健康診断では尿酸値が7.0を超えないと異常値と判定されないため、特に閉経後の女性では尿酸値を確認することが重要だ。
▽肥満を解消し、野菜の摂取を
尿酸値が7.0以下なら薬による治療は不要だが、「将来の合併症リスクに備えて、食生活の見直しや肥満の解消に取り組みましょう」と大山理事長。
プリン体はレバーやアンコウの肝、魚の干物類、エビ、イワシ、カツオなど魚介類や肉類に多く含まれる。また、アルコールは体内で代謝される際に、尿酸が作られたり、尿酸の排せつが妨げられたりして、尿酸濃度が上がるため、プリン体の有無にかかわらず飲み過ぎには気を付けたい。
野菜や海藻類など、尿をアルカリ化する食品を摂取することも勧められる。尿がアルカリ化すると尿酸が尿中に溶けやすくなり、尿酸を体外に排出しやすくなるためだ。牛乳など乳製品に含まれるカゼインというたんぱく質も尿酸値を下げる。大山理事長は「ヨーグルトや牛乳なども取り入れ、バランスの良い食事を心掛けて、高尿酸血症を予防しましょう」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/05/11 09:33)
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