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目の中にステントという極小の細い管を入れて眼圧をコントロールする緑内障の新しい治療法が広がっている。「手術時間が短く、術後の点眼薬を減らせるなど、メリットは多いです」と、山梨大学医学部付属病院(山梨県中央市)眼科の柏木賢治准教授は話す。
長さ約1ミリの極小ステントを手術で埋め込んで眼圧をコントロールする
▽乏しい自覚症状
緑内障は、目から入ってきた情報を脳に伝達する視神経が眼圧の異常な上昇によって障害される病気だ。日本では、40歳以上の約20人に1人がかかっているといわれている。
緑内障が厄介なのは、一度悪くなったら元に戻らないことだ。しかも、徐々に進行して失明に至ることもある。緑内障は日本人の失明原因の第1位を占めている。さらに、病気が進行するまで自覚症状が少なく、気付いた時にはかなり進行していることが多い。「早期に発見して、適切な治療を行うことが重要です」と柏木准教授は強調する。
緑内障の治療では、眼圧を十分に下げる必要がある。眼圧は、目に栄養や酸素を送り、老廃物を排出している房水(ぼうすい)という液体の産生と排出のバランスによって決まる。眼圧を下げるためには、主に点眼薬が使われる。点眼治療は生涯にわたって必要になる。ただし、その効果が不十分だったり、副作用が出たりするほか、高齢や多忙などの理由で点眼治療ができない場合にはレーザー治療や手術が選択される。
▽100施設で実施
緑内障の手術には、出血や炎症などの合併症の発生や患者の負担といった課題が少なくなかったが、近年、そうした点を改善し得る術式が開発されている。同科では、長さ約1ミリの極小ステントをシュレム管という房水の排出口に差し込み、房水を逃がして眼圧を下げる手術を行っている。
このステントを用いた手術は海外では多くの実績があり、有用性が報告されている。日本国内でも現在、約100カ所の医療機関で行われている。軽度から中等度の緑内障を点眼薬で治療中の患者で、白内障手術を同時に受ける場合に保険適用となる。
柏木准教授によると、多くの場合、術後の眼圧コントロールは良好で、点眼薬の数を減らすこともできるため、手術を受けた患者の満足度は高いという。「ステント治療を含め、緑内障の手術は近年大きく改善されています。その恩恵を受けられる患者さんが、今後さらに広がる可能性が期待できます」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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