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脇の下やお尻、脚の付け根、陰部など、ねっとりとした汗を出すアポクリン腺のある部位に生じる化膿(かのう)性汗腺炎。思春期以降に発症する毛穴の炎症による病気だ。日本大学医学部付属板橋病院(東京都板橋区)皮膚科の照井正部長によると、病気としての認知度が低く、正しく診断されるまでに何年もかかることが多いという。
化膿性汗腺炎の好発部位
▽病名と実態にズレ
化膿性汗腺炎は、毛穴が炎症を起こして痛みや赤みを伴うおできが多発し、そこからうみが出たり、しこりのある跡が残ったりする。重症化すると皮膚の見た目から対人関係に悪影響を及ぼしたり、おできの痛みなどで仕事や勉強が困難になったりするという。炎症の跡が長期間残ると、皮膚がんになる懸念もある。
照井部長は「医師の間でも認知度が低いことや、治療法が確立していないこと、病名が病気の実態を表していないことが問題です」と指摘する。患部が二次的に細菌に感染することはあるが、基本的に患部から病原菌は検出されず、病気の実態は、外敵から体を守る免疫機能の異常で生じる毛穴の炎症なのだという。
日本ではまれな病気で、「患者数は1万~2万人程度ではないでしょうか。中には幾つもの医療機関を受診しても適切な診断・治療がされず、通院を諦め、その間に重症化してしまう患者さんもいます」と照井部長は説明する。国際的な研究によると、患者はこの病気と正しく診断されるまでに平均7年を要していた。
▽新治療法の開発進む
治療法は確立していないが、炎症を抑える抗菌薬の投与、切除手術などが行われている。炎症の跡が残らないように、早めに治療することがポイントになる。
近年、炎症に関わる体内の情報伝達物質のうち、TNF―αやIL―17が化膿性汗腺炎にも関わっていることが分かってきた。これらの働きを抑える薬剤を治療に応用する動きがある。「炎症を抑えて『休火山』のようにして、病気の重症化を抑えると期待されます」と照井部長。
その上で、「できれば皮膚科医が複数いるような基幹病院で診断を受けてください。今後数年以内に治療が進歩する可能性が高いため、希望を持ちましょう」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/05/22 06:00)
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