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虫歯で歯の神経が刺激されたり、歯周病で炎症が起きていたりすると、歯はズキズキ痛む。この「歯原性歯痛」の原因は歯自体にあるが、歯に異常がなくても痛むことがあり、これを「非歯原性歯痛」という。原因と治療法について、日本大学松戸歯学部付属病院(千葉県松戸市)口・顔・頭の痛み外来の小見山道教授に聞いた。
非歯原性歯痛の分類
▽歯の食いしばりなどが原因に
虫歯や歯周病などの歯科疾患がないにもかかわらず、歯が痛む場合に疑われるのが非歯原性歯痛だ。歯の痛みを訴えて歯科医を受診した人の3%がこの病気で、9%は歯原性歯痛と非歯原性歯痛の混合との報告がある。
非歯原性歯痛の原因は大きく八つあり、「最も多いのは、食べ物をかむときに使うそしゃく筋を酷使したことなどで起きる筋・筋膜性歯痛です。全体の6~7割を占めます」と小見山教授。
筋・筋膜性歯痛は、就寝中に歯を食いしばったり、パソコンを何時間も見続けたり、するめなどの硬い食べ物を好んで食べる人に起こりやすい。小見山教授は「就寝中に歯を食いしばる癖があると、起床時に歯の痛みが表れます。歯科医でマウスピースを作ってもらい、就寝時に着けることで予防できます」と話す。さらに、硬いものを食べ過ぎない、仕事中に休憩を挟んでストレッチをしたり、大きく口を開けてそしゃく筋を伸ばしたり、手で頬をマッサージしたりすることが予防策になる。小見山教授は「それでも痛みが続く場合には、鎮痛薬や筋肉の緊張を和らげる薬を用いて治療します」と説明する。
▽がんや狭心症で痛むことも
片頭痛や群発頭痛、蓄膿(ちくのう)症、不安やうつが原因で、歯に痛みが生じる場合もある。小見山教授は「咽頭がんが歯の神経の元を興奮させて歯痛を感じるケースもあります。また、狭心症が歯の痛みと関連することは以前からよく知られています」と指摘する。
非歯原性歯痛は一般の歯科医でも診断や治療が可能だが、専門医はより詳しい知識を持っており、専門の医療機関でないと治療できない場合もある。例えば、片頭痛などの症状の一つとして起こる神経血管性歯痛は歯の治療をしても効果はなく、医師による頭痛の治療が必要となる。「歯に異常がないのに痛みが続いて不安な場合、かかりつけの歯科医に『口腔(こうくう)顔面痛専門医や病院の歯科口腔外科で詳しい検査を受けたい』と伝えてほしい」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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