咽頭がん〔いんとうがん〕

 部位によって、上、中、下それぞれの咽頭がんに分類されます。

■上咽頭がん
 台湾、香港、中国南部やシンガポールなどの中国人に多く、EBウイルスの関与がいわれています。男性に多く、女性の約2~3倍です。日本では耳鼻咽喉科のがんの約10%で、他の耳鼻咽喉科のがんにくらべ若い人にも発生します。
 上咽頭がんはアデノイドの位置に出現し、出血や耳の症状で発見される場合もありますが、多くは転移進行して頸部(けいぶ)の腫瘤(しこり)として発見されます。
 一般に放射線がよく効くため、上咽頭と頸部のリンパ節転移に対して放射線治療と、所属リンパ節の郭清(かくせい)手術をおこないます。しかし、多くは遠隔転移を起こすため、その予防、制御のために化学療法や免疫療法など全身的な治療もおこなわれます。上咽頭は悪性リンパ腫がよく発生する部位でもあります。

■中咽頭がん
 扁桃(へんとう)やその周囲に多く発生します。口腔(こうくう)、舌などのがんと同様、喫煙、飲酒、感染などの慢性の刺激が原因と考えられます。おおもと(原発)の腫瘍が大きくなるまで無症状のことが多く、のどの痛みや違和感、異物感や時に耳への放散痛で発見されることがあります。この時点で頸部のリンパ節の腫瘤(転移)があることも多いです。
 治療は嚥下(えんげ)・発声機能も含めた再建手術の進歩により、手術と放射線療法と化学療法の3つを有効に組み合わせておこないます。
 中咽頭がんに限らず、のどの異常感が長く続いたら一度耳鼻科を受診し、悪化がなくても改善しなければ、その1カ月後に再受診をおすすめします。悪性リンパ腫も扁桃に多く、片方の扁桃が極端に大きくなった場合は専門医を受診してください。

■下咽頭がん
 下咽頭は食道の手前の部分です。飲酒の多い人に発生しやすいとされます。女性では鉄欠乏貧血の人に発生する場合もあります。そのほか、頸部への放射線治療後30年ほどして発生することがあります。症状はのどの違和感、痛み、食べ物が飲み込みにくいなどです。極早期では、専門医でも発見できない喉頭(こうとう)の裏側にある場合がありますが、ファイバースコープの進歩によって早期診断が可能となりつつあります。
 治療は手術が主体で、放射線療法、化学療法と組み合わせた集学的治療がおこなわれています。
 耳鼻咽喉科のがんに対するこれらの治療は麻酔法や摘出後の再建を含む手術治療、さらに化学療法ではその副作用の軽減法を含め、着実かつ劇的に進歩しています。しかし、早期発見やそれ以前の予防がなにより大切です。
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