群発頭痛〔ぐんぱつずつう〕 家庭の医学

 突然、ジーンと右目のまわりに焼け火箸を押しつけたような痛みがはじまります。同時に右目から涙がどんどん出はじめ、また鼻水も流れてきます。鏡を見ると額から目のしろめまで、赤くなっています。
 これが群発頭痛です。頭痛のなかの王様ともされるほど、痛みが激しいのです。あまりの痛さに患者はじっと寝ていられないほどです。群発の名がついたのは、いったんはじまると毎日のように同じ時刻に起こるからです。そして、2~3週間が過ぎると、いつの間にかケロッと治ってしまいます。何カ月かが過ぎ、そろそろ忘れたころにふたたび忍び寄ってくる災害のような頭痛です。
 これも片頭痛と同様に血管性頭痛の一つです。頭痛発作時には内頸(ないけい)動脈や眼動脈といった、太い血管に血管収縮が起こり、ついでこれが拡張するときに、まわりがむくみます。同時に動脈に沿ってはしる交感神経のネットワークが障害を受け、自律神経の症状が起こります。
 このとき頭痛側のひとみが収縮し、しろめが充血し、額に汗が出ます。鼻がつまったり、鼻水が流れたりします。目を閉じたり、開くことは正常にできます。
 群発頭痛は圧倒的に男性に多い病気です。3分の2が女性である緊張型頭痛や片頭痛とは対照的です。統計によると、80~90%が男性とされています。遺伝はしません。発病は20~30代が多く、年齢とともに軽くなっていきます。
 この頭痛は、アルコールや喫煙で誘発されます。また、血管収縮作用のあるエルゴタミンが頭痛を抑える効果があります。実際に発作中に血管が収縮したり、拡張したりしているところが撮影されています。血管のまわりがむくみ、痛みの原因になります。

[治療][予防]
 治療としては、100%の酸素吸入がまずおこなわれます。市販の酸素の濃度は30~40%しかなく、効果がありません。
 薬物としては、片頭痛と同様に、トリプタン系の薬剤、抗ヒスタミン薬、カルシウム拮抗薬が有効です。難治例では、副腎皮質ステロイド薬を使うこともあります。
 予防法としてはまず禁酒です。また喫煙でしばしば誘発されるのでこれをやめること。精神的なストレス、怒り、不安感が引き金になることもあり、なるべくしずめるようにします。過労は発作を生じやすくするので、適度な休養をとります。

(執筆・監修:一口坂クリニック 作田 学)
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