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永久歯を喪失する一番の原因となる歯周病。女性は妊娠期や更年期に発症しやすいという。なかや歯科(大阪市)の中家麻里院長に話を聞いた。
妊娠期と更年期は特に要注意。しっかり歯磨きを
▽女性ホルモンが関与
歯周病は、歯を支える歯肉や歯槽骨が細菌感染などで炎症を起こし、歯肉の腫れや出血、物をかむと痛い、歯槽骨が溶ける、歯が抜けるといった症状が表れる。歯を失う原因の約42%が歯周病によるものだという調査結果もある。原因の一つに、歯と歯の間、歯と歯肉の境目の清掃が十分でないために、口腔(こうくう)内に細菌が蓄積することが挙げられている。
「女性には、ライフステージによって歯周病を発症し、悪化させやすい時期があります」と中家院長は指摘する。妊娠中はホルモンバランスの影響で唾液の粘度が増し、口腔内を清潔に保つ機能が低下する。そのため、歯茎に限局した炎症が認められる歯肉炎を発症しやすくなるという。
妊娠中はつわりの影響などで歯磨きがおろそかになりがちで、既に歯周病のある人は悪化しやすくなる。「歯周病は早期低出生体重児の出産につながることも報告されています。歯周病の治療は妊娠前に済ませておくことが望ましいでしょう」と中家院長は強調する。
また、更年期には自律神経の働きやホルモンバランスの乱れにより、唾液の分泌が減少してドライマウスの状態になりやすくなる。口の中が乾くと汚れがこびり付きやすくなり、通常の歯ブラシでは汚れをきちんと落とすことが難しく、細菌も繁殖しやすくなる。その結果、歯周病を誘発したり症状が悪化したりするという。
▽口内を清潔に
歯周病の治療では、細菌の温床である歯垢(しこう)、歯石の除去を行う。歯周ポケットの深い所に歯石がたまっていたり、重度の炎症により歯槽骨が溶けて欠損していたりする場合は、手術が必要になることもある。手術によって、破壊された歯槽骨や歯肉の再生も可能になる。
中家院長によると、何より大事なのは予防だという。すでに歯周病を発症している場合は、きっちりと治療を受ける。その後に良い状態を長く維持するためには、正しい方法で、寝る前にしっかりと歯磨きをし、歯垢を落とす。しかし、歯磨きを行っていても歯並びによっては歯垢や歯石がたまりやすい箇所ができる。その場合、歯並びを矯正すると歯周病や虫歯の予防にもつながる。
「かかりつけの歯科で正しい歯磨きの方法を習いましょう。また、3カ月に1度は定期的に受診し、ケアと指導を受けることも大切です。口腔内を清潔に保つよう心掛けてください」と中家院長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/06/04 08:29)
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