つわり 家庭の医学

 現在でも原因ははっきりとわかっていませんが、妊娠初期に急激に増加する絨毛(じゅうもう)性ゴナドトロピン(hCG)が関与しているという説や、精神心理状態と関連するという説などがあります。症状としては吐き気、嘔吐(おうと)が多く、食欲不振、胸やけ、食べ物の好みが変わる、においに敏感になる、ゲップ、乗り物酔い、だるい、眠いなどがあり、妊娠5~7週に始まり14~16週までにはおさまることが多く、8~10週くらいがピークです。
 心理的な因子が非常に強く、舅姑(きゅうこ)と同居している人、海外在住の人や経済的な不安、夫との不和がある場合はつわりが強いといわれています。外食や職場では食べられるのに、家では食べられず吐くということもあります。
 対処法としては、家の中でじっとしているより、外へ出て散歩や買い物、友人に会うなど気分転換をすることがよいようです。乗り物酔いもしやすくなっていますので、込んでいる電車やバスなどは避け、通勤の必要がある人は時差出勤をみとめてもらいましょう。
 食事については、まだ胎児は小さいので、母体に蓄えられている栄養で十分成長できますから無理に食べる必要はありません。好きなものを好きなときに食べればよいのです。あっさりしたもの、冷たいもの、すっぱいものは食べやすいでしょう。食事がとれなくても水分が摂取できていれば心配はありません。時期がくれば必ずおさまりますので、食事を工夫してのりきりましょう。
 しかし、何度も嘔吐して水分も受けつけない場合は、脱水状態となるので入院して点滴で水分、ミネラル、ビタミンなどを補給する必要があります。入院は通常数日間ですみやかに回復することができます。
 時期がきてもなかなかおさまらないつわりや、ほかの症状(腹痛、熱など)も伴う場合は、医師に相談してください。つわりだと思っていたら、実は内科疾患(胃潰瘍、肝臓病など)であったというようなこともあるのです。

(執筆・監修:恩賜財団 母子愛育会総合母子保健センター 愛育病院 産婦人科 部長 竹田 善治)
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