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病院で検査を受けた際、医師に「異常はありません」「大丈夫です」と言ってほしいのに言ってもらえず、不安を感じた経験のある方は多いのではないでしょうか。安心させてほしいのに、何かと言い訳がましく長々と説明をされ、すっきりしなかったという方も多いでしょう。
なぜ医師の説明はいつも煮え切らないのでしょうか。
実は医師にとっては、どうしても検査結果をクリアカットに説明できない事情があるのです。
一度の検査でスッキリ安心できることは少ない
◇「ない」とは言えない難しさ
検査の結果、異常が「ない」と言い切ることは、原則できません。厳密には、どれだけ優れた検査であっても、「ない」ことを完全に証明はできないからです。
一例として、CT検査を挙げてみます。
CTとは、X線をさまざまな方向から当てて、体を輪切りにした写真を撮影する検査のことです。一方向からX線を当てて一枚の写真を撮る単純X線検査(レントゲン)と違って、CTでは体内の状況を奥行きを持って画像化できます。病状をより精密に知ることが可能なため、医療現場では必須の検査となっています。
ところが、どれほど精密な画像が写し出せるCT検査でも、写ったものが異常であるかどうかの判断が困難なケースはあります。
例えば、多くのがんは進行するとリンパの流れに乗ってリンパ節に転移します。そして転移したリンパ節の中でがん細胞が増殖すると、リンパ節は大きく腫れてきます。
もしCT検査で2センチ、3センチといった大きなリンパ節が写っていれば、「異常がある。転移の疑いあり」と指摘できるでしょう。しかし、がんが転移したばかりのリンパ節の場合はどうでしょうか。「転移を起こしているのにサイズはまだ正常」ということが起こりえます。医学的には明らかに病気が存在するのに、検査でそれを発見できない、ということです。
どんな検査にも、可視化できる限界があります。
検査で発見できない病変が隠れている可能性をゼロにできない以上、「異常はありません」と言い切ることはできないのです。結果として医師は、「この検査では異常は見つかりませんでした」と説明せざるを得ません。「ない」のではなく、「見つけられない」が正確な表現だからです。
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