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◇病状の変化に対応できない
検査は、目まぐるしく変化する病状を、ある一時点で捉えて可視化したものです。例えるなら、激しく動いている動物をカメラで撮影して得られた写真から、「その前にどんな動きをしていたか」と「その後どんな動きをしそうか」を推測するわけです。
あくまで一時点での情報にすぎないため、検査をした時点で異常が見つからなくても、その数時間後には異常が確認できるようになる可能性があります。
北米放射線学会(RSNA)に展示・発表されたコンピューター断層撮影装置(CT)=米シカゴ、2006年11月【時事】
一例として、頭を打って検査をしたケースを考えてみましょう。
交通事故で頭を強く打撲して病院に行き、医師の指示で頭部CT検査を受けたとします。しかし、検査の結果、異常は見当たりませんでした。
自宅に帰ったものの、夜になって頭痛がひどくなってきました。そこで、もう一度病院に行って同じ頭部CT検査を受けると、頭の中に出血していることが分かる。
さて、最初の検査で出血を見つけられなかったのはなぜでしょうか。
頭部CT検査は、ある瞬間の頭の状態を静止画として捉えたものです。その数分後、数時間後に、どのように病状が変化するかまでは分かりません。
最初は異常が発見されなくても、時間をかけてじわじわと出血し、数時間後に撮影したCTで初めて異常が発見される、ということがありうるのです。
医師は病気のこうした特性を知っているため、単に「異常はありません」とは言えません。「現時点では異常は見当たりませんが、今後どうなるかは分かりませんので、症状が悪化するようでしたらその時点でもう一度受診してください」と言わざるを得ないのです。
私たちが目指すべきなのは、検査によって病気を正確に言い当てることだけではありません。検査の結果を踏まえて、「次にどんなことが起こりうるのか」「次はどのタイミングで、どんな対応をすべきか」を予見するのが重要なのです。
患者さんが自宅に帰った後は、その「タイミング」は患者さんに委ねられます。よって医師が説明すべきなのは、「どういう状況であればもう一度受診すべきか」です。
以上の理由から、1回の検査ですっきり安心できる、ということは少ないでしょう。しかし、どういうことに注意すべきかを医師からきっちり聞き出しておけば、きっと不安は軽減するはずです。(医師・山本健人)
(2019/06/19 16:00)
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