治療・予防 2024/11/22 05:00
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左右どちらかの目だけに網膜剥離が起こり、そのために視力が低下する「コーツ病」は、幼い男の子に多い目の病気だ。近畿大学病院(大阪府大阪狭山市)眼科の日下俊次主任教授は「発見が遅れると失明につながる恐れがあります」と注意を促す。
▽自覚しづらい視力低下
コーツ病は滲出(しんしゅつ)性網膜症とも呼ばれ、網膜の毛細血管に蛇行、拡張、こぶの出現などの異常が生じることにより、血液に含まれる脂肪や水分が血管から漏れる病気だ。漏れ出た液体は網膜の中などにたまり、網膜のむくみや剥離を起こし、視力の低下、視野の欠如などの原因となる。また、脂肪が沈着することにより、目の中に滲出斑という黄色いしみができることもある。重症化すると、失明する危険がある。
視力測定の習慣付けで早期発見につなげたい
コーツ病は5~6歳の男児に多く、症状はほとんどが片目だけに表れる。もう片方の目は正常なため、小さい子どもは視力の低下に気付きにくく、発見が遅れることがある。また、片目の視力低下が長期にわたると、斜視を引き起こす場合もある。小学校の視力検査で視力の低下を指摘され、眼科を受診した際に発見されるケースが少なくないという。
「剥離が網膜の中央の黄斑部まで進行すると視力が急激に下がり、治療をしても視力が完全に回復しないことがあります。早期の治療が重要です」と日下主任教授。
▽視力測定を習慣化
コーツ病が疑われる場合は眼底検査を行い、毛細血管と網膜の病変を調べる。治療は、レーザーによる網膜光凝固術により毛細血管の異常がある箇所を凝固し、水分の滲出を抑える。剥離が進行している場合は手術が必要になることもある。コーツ病は再発の可能性があり、定期的に受診して視力検査や眼底検査などを受ける必要がある。
「早期発見には視力の低下にいち早く気付くことが大事。小さい子どもは自分から視力の低下を訴えることは少ないので、簡易視力検査表などを壁に張り、生活の中で視力を測る習慣を付けるのがよいでしょう」と日下主任教授は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/09/03 07:00)
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