治療・予防

胃がん検診はどちらを選ぶ?
X線撮影か内視鏡検査か

 胃がんは国内で年間約13万5000人が罹患(りかん)し、トップの大腸がんに次いで多いがんだ。初期は自覚症状に乏しいことや、早期発見・治療で治癒が期待できることから、定期的な検診が重要となる。自治体が住民を対象に行う胃がん検診には、主にX線検診と内視鏡(胃カメラ)検診の2種類があり、受診者がどちらかを選ぶ場合もある。それぞれの特徴について、東京医科大学病院(東京都新宿区)内視鏡センターの河合隆部長に聞いた。

 ▽バリウムと発泡剤を飲み撮影

 X線検診では、バリウムと呼ばれる白くねっとりとした液状の造影剤と胃を膨らます発泡剤を飲み、X線撮影をする。X線を通さないバリウムは画像に白く写り、その様子から胃粘膜の盛り上がりやくぼみなどの異常を見つける。撮影後は下剤を服用して、バリウムを便とともに排出する必要がある。

 河合部長によると、X線検診は胃の部位によっては異常を見つけにくいことや、バリウムが検査後に腸に残ってしまう可能性などが課題となる。

 ▽内視鏡では麻酔が必要

 内視鏡検診は、先端にレンズが付いた直径5~12ミリの管を口や鼻を通じて胃に挿入して、モニターに映し出された画像を見て観察する方法。胃がんの早期発見にX線検診より有効とされている。

 口から管を入れると反射的に吐き気を催すため、「受診者の苦痛が少ないのは経鼻内視鏡です。検診は定期的、継続的に受けることが重要なので、苦痛が少ないことは大きな利点です」と河合部長。

 経口内視鏡では喉に、経鼻内視鏡では鼻に麻酔が必要だ。内視鏡を通す時に粘膜を傷つけることや、検査を実施する医師数がまだ少ないといった問題もある。

 X線検診、内視鏡検診のどちらも、がんの見逃しや、逆にがんではない病変をがんと疑ってしまう可能性がある。こうした事態を防ぐため、撮影した画像は複数の医師がチェックし、受診者には後日、結果が通知されることが多い。

 2016年の胃がん検診の受診率は、男性が46.4%、女性が35.6%にとどまる。河合部長は「恐れず、自分のために検診を受けましょう」と話している。胃がん検診の対象年齢や料金は自治体ごとに異なるので、ホームページなどで確認してほしい。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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