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百日ぜき菌に感染して発症し、せきの発作など特有の症状を示す百日ぜき。乳児が感染すると重症化しやすい。近年は大人の感染例が増えており、症状が軽いだけに、気付かないまま感染源になる可能性がある。国立感染症研究所(東京都新宿区)感染症疫学センター第一室の神谷元主任研究官は「せきが長引く場合は、早めに受診してほしい」と呼び掛ける。
大人もかかる百日ぜき
▽学童児や成人の発症例多く
百日ぜきは、せきが数週間から数カ月続くのが特徴だ。感染力が非常に強く、つばなどからの飛沫(ひまつ)感染や接触感染などでうつる。
近年は大人の感染例が増えて問題となっている。その数を正確に把握するため、厚生労働省は2018年1月から全医療機関に患者の届け出を義務付けた。
18年の年間患者数は約1万2000人。別のデータで患者の年齢別の内訳を見ると、6カ月未満が5%、6カ月~5歳未満が6%、5~15歳未満が65%、20歳以上が21%と、学童期の小児や大人が多い。
百日ぜきを予防するため、生後3カ月から90カ月(7歳半)未満の間に計4回の定期接種が行われている。しかし、ワクチンの効果は長続きせず、4~12年で減弱することが分かってきた。「定期接種を受けた小学生や中高生の患者が増えていますが、それは接種から時間がたつと免疫効果が弱まるからです」と神谷主任研究官。そのため、就学前の小児への追加接種が検討されているという。
▽大人がワクチン接種し感染予防を
大人の場合、せきが長引くが、百日ぜき特有のせき発作がないため、気付かないまま感染拡大を招く危険性がある。免疫が十分でない乳児に感染すると、低酸素脳症を起こすなど重症化する場合もある。特に生後6カ月未満の乳児は死亡リスクが高いため、注意が必要だ。
神谷主任研究官は「海外では妊婦に予防ワクチンの接種を推奨または定期接種化することで効果を上げている国もあります」と話す。妊婦がワクチンを接種すると胎児にも抗体が移行するため、生後直後の感染予防が可能だという。
その上で、「乳児が百日ぜきに感染すると、治療しても激しいせきからくる呼吸困難などで、命を落とす危険性もあります。子どもを守る手段の一つとして、大人が百日ぜきを予防することが大切です。乳児の家族や乳児と接触する機会の多い人は、ワクチン接種を検討してください」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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