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エイズ(後天性免疫不全症候群)はヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染し、免疫力が数年から数十年の間に低下して日和見感染や悪性腫瘍などを発症する病気だ。かつては「死の病」と恐れられていたが、有効な薬が登場し、早期に治療すれば発症を抑えられるようになった。その現状を新宿東口クリニック(東京都新宿区)の山中晃院長に聞いた。
▽服薬が簡素化
国内では1日に約4人が新たにHIV感染者として見つかっている。HIVウイルスに感染すると、免疫機能が徐々に低下して、ニューモシスチス肺炎、カポジ肉腫などを発症する。この状態を「エイズ」と呼ぶ。
HIV感染症に対し、国内では1996年に3剤の抗HIV薬を併用する多剤併用療法が導入され、血液中のHIVウイルスが検出されない状態を目指すことが可能になった。エイズを発症して命を落とす例が格段に減った一方、「導入当初は、1回20錠もの薬を異なるタイミングで内服しなければならず、患者の負担がとても大きかった」と山中院長。
現在の標準治療は、抗HIV薬3剤を組み合わせた抗レトロウイルス療法だが、配合剤の開発が進み、2013年にはついに服薬が1日1回1錠で済む合剤が発売された。山中院長は「いまは合剤による治療が主流となっています」と説明する。
▽国内初の2剤配合剤
薬物治療の進歩により、HIVウイルスの増殖を強力に抑え、免疫力の低下を防ぐことが可能になった。だが、ウイルスを体内から完全に排除することは難しく、薬剤を一生飲み続ける必要があることに変わりはない。
そうした中、2018年12月に発売されたのが、国内初となる2種類の薬剤を配合した「ジャルカ」だ。1日1回1錠を服用する。配合される成分数を従来の3~4種から2種に減らした点が特徴で、長期服用に伴う腎機能障害や骨粗しょう症の症状悪化などの副作用が抑えられると期待されている。「ウイルス量をコントロールできている患者であれば、他の抗HIV薬からジャルカへの切り替えも考慮されるようになっています」と山中院長。
HIV感染患者が長生きするようになり、高齢化に伴う合併疾患や併用薬の増加が問題となる中、薬剤数を最小限に抑えた抗HIV薬の登場は患者にとって朗報だ。山中院長は「エイズの治療はウイルスの抑制を達成するだけでなく、高齢者に目を向けた治療を行う段階に入ったと言えるでしょう」と話す。(メディカルトリビューン=時事)
(2019/12/30 08:00)
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