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注意力や集中力が欠如し、衝動的で落ちつきがないなどの特徴的な症状を持つ注意欠如・多動性障害(ADHD)。かつては子供に特有のものとされていたが、最近では大人にもADHDがあることが知られてきた。昭和大学付属烏山病院(東京都世田谷区)の岩波明院長に聞いた。
▽有病率は3~5%
ADHDは発達障害の一つで、生まれつき脳の機能に障害があるために起きるといわれる。岩波院長は「ADHDは生まれつきの体質であり、病気という側面だけでなく、個性としても捉えることができます」と説明する。
多動・衝動性、不注意の二つの症状が特徴で、小児期から症状が表れ始める。大人の場合、注意力や集中力の欠如が目立つ。
ADHDの有病率は3~5%と推測されており、大人の患者も珍しくない。岩波院長は「以前から大人の患者は、現在と同じように存在していました。最近になって、社会全体の管理化が進み、適応しにくい場面が増えたことにより、周囲や自身がADHDではないかと疑って受診するケースが増えています」と話す。
本人が自らの症状や特性に気付き、適切に対処することで、大人になるころには環境に適応できるようになることも多い。ところが、小児期に成長過程にありがちなことと見過ごされると、大人になって職場などで対応できない場面が増え、ADHDが明らかになることがある。仕事でミスを連発する、不用意な発言をする、遅刻を繰り返す、周囲と良好な関係が築けないといったことで、会社やプライベートでトラブルを起こし、生きづらさを感じている人も多い。
▽薬物治療で症状は軽減
同院では、就職して1~2年後に受診する人が多いという。「学生生活では、遅刻や失言が多くても大きな問題にはなりにくい。しかし、社会人になると、ミスなく確実に仕事を遂行する能力が求められるので、不注意さなどが顕在化します。業務に支障を来して、上司に勧められて受診する人もいます」と岩波院長。
軽症患者では、苦手な場面を認識した上で、対処法を考え、物事がスムーズに進むようにする「環境調整」を行う。十分改善されない場合、薬物治療と併用することで症状はかなり改善するという。
診断する際は、幼少期までさかのぼって確認する必要がある。そのため、岩波院長は「初診患者にも診療時間を十分確保できる大学病院などの精神科を受診するとよいでしょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)
(2020/01/10 07:00)
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