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睡眠薬や抗不安薬としてよく用いられているベンゾジアゼピン(BZ)系薬は、承認された用量を使っていても、薬をやめた時に手の震え、動悸(どうき)、発汗、頭痛、けいれんなどの不快な症状が表れることがある。「BZ離脱症候群」と呼ばれ、長期使用者や多剤併用者で起こりやすい。順天堂大学医学部付属順天堂越谷病院(埼玉県越谷市)メンタルクリニックの馬場元教授に、その症状や発症を防ぐ方法について聞いた。
▽多くの診療科で頻繁に処方
BZ系薬は脳内で神経伝達物質の作用を強め、気分を落ち着かせ、不眠や不安を早く確実に改善する効果がある。筋緊張を和らげる作用もあるため、不眠や不安の他に、けいれん、頸椎(けいつい)症、腰痛、筋収縮性頭痛、肩凝りを訴える人にも使用されている。さまざまな診療科で頻繁に処方されており、日本でのBZ系薬の処方率は世界的に見ても極めて高い。
だが、BZ系薬は、適正な量でも長く服用していた人が中止すると、離脱症状を生じることがある。症状の種類や程度は、体質や服用期間、服用量によってさまざまだ。
馬場教授は、BZ系薬の使用が広がった理由について、「例えば不眠であれば、早く効果が表れ、同時に眠れないことに対する不安も軽減し、症状を改善するからでしょう」と説明する。ただ問題点も多く、「脱力、転倒、認知機能の低下、せん妄(急性の脳機能障害)などを引き起こす可能性があり、長期使用に伴う依存性や、急な減量や中断による離脱症状が認められます」と馬場教授。
そのため、長期使用を控え、投与量を抑えることが重要で、症状改善後は慎重に減量・中止する必要があるという。厚生労働省はBZ系薬の長期使用や多剤併用を減らす対策を打ち出しているが、成果はまだ十分とはいえない。
▽減らしたい、やめたいときは
離脱症状は、作用持続時間の短い短時間型、作用の強いBZ系薬ほど生じやすい。このため馬場教授は減量や中止の方法について、「まず、短時間型や作用の強いBZ系薬から投与量を減らします。短時間型のBZ系薬を、いったん長時間型に切り替えてから減量するのもよいでしょう」と話す。自己判断で急に服用をやめると離脱症状が生じることがあるため、「漫然とした長期の使用を避け、医師の指示の下でゆっくり時間をかけて減らしていくことが大切です」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)
(2020/01/17 07:00)
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