動悸(どうき) 家庭の医学

 心臓は、1日にほぼ10万回、全身に血液を送り出すための鼓動を休むことなくくり返しています。通常は心臓の鼓動を意識することはありませんが、心臓がドキドキとうつのを感じることを“動悸”といいます。
 動悸には、①強くうつ、②速くうつ、③鼓動が乱れる(あるいは脈が飛ぶ)、の3つのタイプがあります。①と②は健康な人でも激しい運動や、興奮したときには感じるものですが、安静にしているときや、すこしの運動、たとえば階段をふつうにのぼるぐらいでも動悸がするのは異常かもしれません。③は心拍のリズムの異常である不整脈が考えられます。
 動悸はいろいろな心臓の病気で起こりますが、そのほかに甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、貧血、発熱時など脈拍がいちじるしく増加する場合などでも起こります。心臓がわるいのか、それともほかに病気があるのか、ただ神経性のものなのかの区別はむずかしいことがあるので、動悸を感じるときは心臓を含めた検査を受けてください。特に冷や汗やめまいなどの症状を伴うときは、救急車で専門医を受診することが必要です。

(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 循環器内科 住吉 徹哉)