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幼児期から学童期の子どもは、不安や緊張などが高まると嘔吐(おうと)を繰り返すことがある。近畿大学医学部(大阪府大阪狭山市)内科学教室心療内科部門の小山敦子教授は「多くはストレスが原因です。その子にとって何がストレスになっているかを探ることが改善につながります」と話す。
周囲の大人は子どもを見守る姿勢が大切
▽数日から数カ月継続
心因性嘔吐症の原因となるストレスは、主に不安や緊張から生じる。例えば、バスに乗った時に車酔いなどで嘔吐した経験があると、バスを見ただけでまた吐くのではないかと不安が募り、気分が悪くなる。また、クラスメートの前で音楽や体育の実技発表を行う日には、緊張のあまり登校前に吐いてしまうこともある。
「嘔吐は、脳にある嘔吐中枢やその周辺が刺激されることで起こります。子どもの中枢神経系は未成熟なので、ささいな気持ちの動きによって刺激を受けやすいのです」と小山教授は説明する。
心因性嘔吐症の症状には幾つかのタイプがある。吐き気だけで嘔吐を伴わない、嘔吐が連続する、食後や登校前など決まったタイミングで習慣的に嘔吐する―などだ。数日で治まることもあれば、数カ月続く場合もある。ただし、体重減少や成長障害に及ぶケースはまれだという。
▽丁寧な問診を基に対策
心因性嘔吐症の治療は、消化器疾患や内分泌・代謝異常、精神疾患など、他の疾患が隠れていないかを確かめてからになる。「どのような場面で起こるのか、一日の中で決まった時間帯に起こるのか、友人関係など学校で何か問題を抱えていないかなどの確認には、問診が重要になります」と小山教授。原因となる出来事がはっきりすれば、周囲が協力して子どもに不安や緊張を抱かせないように環境を整え、本人の不安を和らげることができる。
制吐剤や抗不安薬の内服などにより吐き気や嘔吐を軽減する治療や、嘔吐による脱水対策の点滴を行う他、心理療法や行動療法でストレスへの上手な対処法を習得させることもある。
「脳の成熟に伴い、子どももストレスの解消法を身に付けていきます。そのスピードは一人ひとり異なるので、周囲の大人は他の子どもと比べることなく見守る姿勢が大切です」と小山教授は強調している。(メディカルトリビューン=時事)
(2020/02/09 08:00)
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