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物を見るときに、片方の目が内側に寄る内斜視。小児の急性内斜視の発症に、スマートフォンやタブレット端末など、デジタル機器の長時間使用が関わっている可能性があるとする研究結果が報告されている。報告をまとめた国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)眼科の吉田朋世医師に聞いた。
▽1日3~4時間以上は危険
急性内斜視は、片方の目の急な視力低下、精神的ストレス、近視の矯正不足などが原因で生じる。しかし最近、「そのような原因が見られず、よく聞いてみると、デジタル機器を長時間使用しているという小児の急性内斜視を診ることがあります」(吉田医師)。患者は、毎日3~4時間以上、6カ月から2年間にわたってデジタル機器を使用していた。
発症の経緯について吉田医師は「仮説」と前置きした上で、次のように説明する。小さな画面を至近距離で見るときに目は内側に寄るが、画面から目を離したり、見るのをやめたりすれば元に戻る。しかし、長時間見続けていると、眼球を動かす筋肉のバランスが崩れて元に戻りにくくなる。小児の目は内側に寄りやすいこと、至近距離で長時間見ていても疲れにくいことも関係しているようだ。
症状としては、物が二重に見える(複視)場合があるが、年齢によっては自覚できず、親や周囲の人が目の異常に気付いて受診するケースが多い。小児の内斜視を放置すると立体感覚が育たず、球技が苦手になったり、成人してから大型車の運転免許取得が困難になったりする。
▽適正な距離と時間は?
治療法は、デジタル機器の使用時間を減らすことが基本だ。それでも改善しない場合、眼球を動かす筋肉を調整して目の位置を戻す手術や、プリズムで光を屈折させ像の位置を目に合わせる眼鏡(プリズムレンズ)を掛けて、複視を矯正する方法がある。ただし、デジタル機器を長時間見る習慣が続いていると、手術後に再発するケースもあるという。
吉田医師は眼科医の立場から、デジタル機器の使い方の目安として、〔1〕小学生以下では1日1時間以内にとどめる〔2〕中学生以上では1日2時間以内にとどめる〔3〕30分見たら目を休める〔4〕目と画面を30センチ以上離す〔5〕寝転がって見ない―などを挙げる。
「急性内斜視は早めの治療が必要です。普段から子どもの目に気を配り、目が内側に寄っているなど気になることがあれば、眼科を受診しましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)
(2020/03/11 07:00)
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