内斜視〔ないしゃし〕 家庭の医学

■先天性内斜視
 生後6カ月以内発症の内斜視で、内斜角が大きく、外への眼球運動制限があり、遠視の程度は強くなく、内斜は内上方へずれる下斜筋過動を伴う場合が多いなどの特徴があります。先天性内斜視の頻度は全内斜視の約30%です。
 治療は、手術で眼位(目の位置)の矯正(きょうせい)をし、内斜している目の弱視を治療することが必要となります。

■後天性内斜視
 1歳以上になって発症してくるもので、次のような3種類に分類されています。
□調節性内斜視
 プラス2~5ジオプター(レンズの強さをあらわす単位)の遠視があり、近くを見ようとすると内斜視があらわれます。2~5歳くらいから家族や周囲の人に気づかれる場合が多く、遠視の矯正眼鏡で正位(眼球がまっすぐな位置にある)になります。
 このほかに、近くを見るときのほうが遠方視時より内斜がよりひどくなる型もあり、この場合は二重焦点レンズや累進多焦点レンズの使用、縮瞳(しゅくどう)薬点眼などをおこないます。
□部分的調節性内斜視
 部分的内斜視は、調節による内斜視とそうでない内斜視とがまじりあったもので、凸レンズによって遠視を十分矯正しても、まだ内斜視の状態が残っています。この残りの内斜視に対しては、手術で矯正がおこなわれます。
□非調節性内斜視
 凸レンズ使用によってもまったく斜視の程度の変わらないものをいいます。原因は神経支配異常や外転神経まひによるものと考えられ、頭部外傷、脳腫瘍、熱性疾患や中枢神経の病気によるもの、一眼の視力がいちじるしくわるい乳幼児に起こるもの、周期性に内斜視の起こるもの、外斜視の手術の過矯正によるものなどがあります。
 治療は、内斜の度合いに応じた手術をおこないます。内斜が少ないときはプリズム眼鏡を使います。

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