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日光角化症は皮膚のがんの一歩手前の状態で、長年紫外線を浴び続けてきたことにより発症する。ダメージが長年蓄積された70歳以上の高齢者に多い。ひふのクリニック人形町(東京都中央区)の上出良一院長は「早期発見・治療ができれば、決して怖い病気ではない」と話す。
▽カサカサした赤い染み
日焼けの主な原因となる紫外線(UV)は、波長の長い順にA波、B波、C波に分類され、中でもB波はエネルギーが強く、肌表面の細胞を傷つけて炎症を引き起こす。
細胞は種々の原因で生じた傷を自動的に修復する機能を持つが、反復して傷つけられるうちに、修復できないDNAが増えてくる。傷ついたDNAの不正な遺伝情報が複製されると突然変異が生じ、その積み重ねが発がんに結び付くと考えられている。
また、紫外線は免疫機能を低下させる要因にもなり、発生したがん細胞の増殖を抑えることが難しくなる。「紫外線はがんを作り、そして増殖させるため、二段階でがんを促す要因になると言えます」と上出院長。
日光角化症は、紫外線によってできたがんが、皮膚の一番表面にある表皮の中にとどまっている状態。頬や耳などの露出部に赤色のまだらな染みが表れ、皮膚表面にカサカサとした角質やかさぶたが見られることが多い。触ると、指先にチクチクとした感触があるのが特徴だ。痛みやかゆみなどの自覚症状はほとんどない。肌の色が白い人、農業や漁業の従事者、アウトドアの趣味を持つ人など、紫外線に長く当たる人ほど発症しやすい。
▽液体窒素や塗り薬で治療
転移を生じる危険性はないが、放置していると、表皮の下にある真皮までがんが入り込む「有棘(きょく)細胞がん」に進展する可能性がある。真皮にはリンパ管や血が通っているため、それを通って他臓器にがんが転移して、命を脅かす危険性がある。
「日光角化症の段階であれば、手術で切除するケースは少なく、液体窒素で凍結、壊死させて除去するのが一般的です。塗り薬のベセルナクリームを用いるケースもあります」と上出院長。
早期発見できれば、通院や治療による身体の負担を最小限に抑えることができる。上出院長は「皮膚がんは自分で見つけやすいがんです。日頃から、顔や耳などを触り、気になる赤い染みがあれば、早期に皮膚科を受診してください」とアドバイスする。 (メディカルトリビューン=時事)
(2020/04/12 09:00)
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