医学生のフィールド

命を守る未来へ、若者がトップランナー招き議論
大阪万博見据え「WAKAZO適塾」がキックオフ

    産官民学―そして若者が一体となり、誰もが誰かの命を守れる社会を創り上げていく。「inochi未来・WAKAZO塾」(以下「適塾」)は、関西と関東の学生有志が主体となり、そんな未来の医療・ヘルスケアへの挑戦に向けて開講したオンラインゼミだ。

   全8回で毎回、各界のトップランナーを講師に招き、U30(30歳以下)の若者たちと企業関係者が参加して、「ポストコロナ社会」の医療・経済・社会の在り方について議論を深めていく。8月5日に開催された初回のゼミは、慶応大学教授でヤフーCSO(最高戦略責任者)の安宅和人氏らを講師に招いた。議論は終始白熱し、参加者は未来に対する強い思いを分かち合った。(文:東京医科歯科大学医学部2年・李承昱=イ・スンウク)

安宅和人氏

  「適塾」を主催したのは「inochi WAKAZOプロジェクト」。心臓外科の権威である澤芳樹大阪大学大学院教授が理事長を務める一般社団法人inoch未来プロジェクトの下部組織で、「若者の力でinochiを守る社会を創る」というビジョンの下、大阪大学、京都大学、東京大学の医学生を中心に2017年から活動している学生団体だ。

   その一環として、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに開かれる2025年の大阪・関西万博に参画し、inoch未来プロジェクトのパビリオンを創り上げるためのさまざまなアイデアを出していく。「適塾」はその「パビリオン創生」に向けての公開ヒアリングという位置付けとなる。全8回の終了後、11月29日に行われる「inochi未来フォーラム」で、議論の成果を盛り込んだ提言書の提出を目指す。

 初回のゼミは「総論」として、万博までの「5年計画」の全活動をキックオフする意味合いを強く持つものとなった。冒頭、「適塾」運営スタッフの田邊翼代表(大阪大学医学部3年)らがプレゼンテーションを行い、適塾の狙いなどを説明した。

 安宅氏が基調講演を行い、inochi未来プロジェクトの澤理事長、同じく理事で東京大学教授などを務める鈴木寛氏も講師としてそれぞれ講演。講師陣と若者たちによるパネルディスカッションへと続いた。

■「適塾」設立に関する学生からのメッセージ(抄)■

田邊翼代表

 コロナ禍で世界は大きな壁にぶつかり、有史以来有数の危機に瀕している。若者たる我々にできることは本当にないのか?

 このような思いから、現状に一石を投じるべく始動したプロジェクトが「適塾」である。

 目指すものは「誰しも誰かのinochiを守れる未来社会」の構築である。コロナ禍で人類は命の尊さを強く再認識した。同時に現代社会においてinochiを守ることと経済発展を両立させることの難しさを学んだ。この現状を打破するためには、根本から変革を起こさなければいけない。

 inochiを救うこと・inochiをつなぐこと・inochiに力を与えることという三つのアプローチが全ての経済社会活動の原点となる社会をつくり上げるべく、「適塾」を通して「inochi CSV」を練り上げ、創り出していく。

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