医学生のフィールド

命を守る未来へ、若者がトップランナー招き議論
大阪万博見据え「WAKAZO適塾」がキックオフ


 ◇変革へ出でよ「異人」「狂人」、若者に檄

  コロナ禍から見えてきた社会のトレンドは「自律分散化」と「開疎(開放×疎)化」。基調講演で安宅氏は「withコロナ」が続く今後の社会を見据えつつ、こうしたトレンドを踏まえた未来図を実現していくための鍵となる、最先端技術とデータを活用した産業変革について語った。

澤芳樹氏

 「データ×AI(人工知能)化」がすべての産業で今後起こっていくとの見方を示し、既存の産業の枠組みを超えた「第三種人類」的な取り組みが必要になるという。求められる人材は、かつて優秀とされた「一分野特化型」「万能型」「競争に強い人間」ではなく「複数領域をつないで夢を描き、形にできる人」「人をうまく頼れる人」「未開拓の分野に飛び込んで活躍できる人」といった「異人」だと指摘した。

 また安宅氏は、若さの価値に強い思い入れを持ち、「若さというのは日々目減りしていく真にプライスレスなアセット(お金では買えない資産)である」と断言。若さが有り余るうちに意図的に尖(とが)り、社会に向けて大きく仕掛けていくようにと檄を飛ばした。

   澤氏と鈴木氏は大阪万博での実現を目指すパビリオン「inochi未来館」の構想などについて説明。そしてパネルディスカッションへと続き、若い世代が社会を背負って立つ上で不可欠なマインドセット(物事の見方・考え方)について議論を深めた。

 ◇「革新的なアイデアを出してほしい」

鈴木寛氏

   口火を切った鈴木氏は、「適塾」のモチーフとなった幕末の蘭学塾である適塾が、緒方洪庵を筆頭に日本の医療を劇的にパラダイムシフトさせたことを挙げ、「種痘を行った人間(洪庵)は当時では間違いなく『狂人』だった」とした上で、「今は150年前を上回る歴史の大転換期に来ている」と述べ、安宅氏の用いた「異人」を超えるような「狂った人間」が必要であると訴えた。

 安宅氏は「強みを持つことは重要だが、それだけでなくさまざまな分野に興味を持ち、知見を広げることが大切である」と述べた。また、型にはまらず、教えられたことをうのみにしない姿勢が跳躍的思考を生むとも付け加えた。

 さらに議論は大阪万博に及び、安宅氏は「若者にはSociety5・0をはじめとした既出のアイデアの深掘りではなく、革新的なアイデアの創出によって、万博を創り上げてほしい」と、「異人である若者」の挑戦に期待した。

「適塾」の川竹絢子(京都大学医学部附属病院研修医)、 小坂 真琴(東京大学医学部5年)両スタッフ

 最後に学生側から、今の社会が求める「異人・狂人」であるためにはどうすればよいのかという質問が出ると、鈴木氏は「社会の迫害を乗り越えるエネルギー」「実現したいと思った夢を、なりふり構わず実現しようとする情熱」を持った人間こそ「狂人」であるとし、弾圧を恐れず、常に足を使って「売り込む」よう若者に呼び掛けた。議論を踏まえ、田邊代表は「新しいエポックをつくっていきたい」と変革の意志を示して、初回のゼミを締めくくった。

   私たち若者は今回、未来を作る上で基盤となる、最も重要な心構えを学んだ。理想的な未来社会をデザインし、本気で社会を変えるべく、万博から世界へ、「産官民学若でつくり上げる、inochi守れる経済活動」の在り方を世界へ発信していく。「適塾」はそのための足掛かりにしたい。

 inochi未来・WAKAZO適塾の参加希望者は適塾HPを参照。(了)

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