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先天性QT延長症候群は遺伝性の不整脈で、症状がないまま、突然死につながることもある注意したい病気だ。日本医科大学付属病院(東京都文京区)循環器内科の清水渉部長に、特徴や治療について聞いた。
原因遺伝子のタイプに合わせ適切な治療を
▽主な原因遺伝子は三つ
先天性QT延長症候群は、遺伝子異常により、生まれつき心臓の電気的活動に異常が見られる状態で、2000人に1人程度の割合で発症する。心電図で、Q波(心室が興奮するときの波形)とT波(興奮が冷めるときの波形)の間隔が異常に長くなる「QT延長」を示すのが特徴だ。
清水部長は「QT延長があっても多くの場合は無症状ですが、運動や強いストレスなどをきっかけに、心室の拍動が異常に速くなる心室頻拍が起こり、時に心室細動(心臓が小刻みにけいれんする危険な不整脈)へ移行して、失神や突然死を引き起こします」と説明する。
原因となる遺伝子のタイプは主に三つで、心室頻拍、心室細動につながる誘因がそれぞれ異なる。「1型は水泳やマラソンなどの運動中に心室頻拍が起こりやすくなります。2型は驚いたり、興奮したりしたとき、3型は安静時や睡眠中に多発します」
▽薬や医療機器が有効
治療はタイプによって選択される抗不整脈薬が異なる。1型、2型ではベータ遮断薬が有効であることが多く、3型は加えてナトリウムチャネル遮断薬が用いられる。「ただし、薬はあくまで心室頻拍を予防するためのもので、先天性QT延長症候群自体が治るわけではありません。また、1型の場合は運動の制限、2型では大きな音に驚いて心室頻拍を起こさないよう目覚まし時計は使わないなど、生活環境の調整も重要です」と清水部長。心室細動や心停止などの重大な発作が起きた場合は、突然死の2次予防として植え込み型除細動器という医療機器を植え込むことがある。心室頻拍や心室細動が起こると自動的に電気ショックを送り、心臓の動きを正常に戻す装置だ。
遺伝子のタイプは検査によって判別できる。清水部長らが行った研究では、タイプによって心室頻拍、心室細動を起こしやすい年代や性別が判明している。また、同じタイプでも遺伝子変異の場所によって危険度が異なることも分かっている。清水部長は「どのタイプか知ることで、生活上の留意点が変わります。治療方針にも関わるので、遺伝子検査はぜひ受けてください。保険適用にもなっています」と強調する。
(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2020/08/21 15:17)
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