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更年期に見られる症状の一つに手指の関節痛がある。中年期以降の女性に多い関節リウマチと症状が似ているため、判別しにくく間違えやすい。どう見極めればよいのか、山王メディカルセンター女性医療センターの太田博明医師に聞いた。
更年期障害と関節リウマチの関節痛などの違い
▽女性ホルモンの分泌低下
40歳以降に1年以上月経が来ない状態が続くと閉経と診断され、その前後10年間ほどを更年期と呼ぶ。日本人の平均閉経年齢は約50歳のため、おおむね45~55歳が更年期に相当する。
閉経が近づくと、エストロゲンという女性ホルモンの分泌が急激に低下し、自律神経の調節がうまくいかなくなり、さまざまな体と心の不調が表れる。「加齢変化の一つで、ストレスや疲労も誘因となります」と太田医師。のぼせ、ほてり、発汗、抑うつ、不眠など多様な心身の症状だけでなく、手や指の関節が痛み、腫れ、こわばりなどの症状が生じることがある。
▽手指関節の痛みが特徴
更年期障害による手指の関節痛とともに関節リウマチも女性に多い疾患で、中年期以降の女性が手指関節痛を起こすと関節リウマチをまず疑うことが多い。
太田医師は「更年期女性が訴える手指関節痛のほとんどは更年期障害によるものです。関節リウマチなどはごく一部にすぎません」と指摘する。
関節リウマチの場合、起床時の手足のこわばりが1時間以上続き、関節の痛みや腫れの程度が強く、重症感が強いという。関節を包む「滑膜」に炎症が起きるためで、症状が次第に悪化して、変形が強くなる。
それに対し、更年期障害による関節痛は、関節を支えている軟骨や筋肉の衰え、関節内の水分減少などが原因とされ、手指の関節を中心に痛みや変形を起こす場合が多い。さまざまな心身の症状を伴うのも特徴だ。
「肘、膝などの大関節がひどく腫れることはあまりありません」と太田医師。痛みは閉経早期(閉経から2~3年間くらい)が最も強く、その後は徐々に軽くなり、忘れてしまうことが多いのが特徴だという。日常生活に支障を来すほど症状が重く、原因疾患もなく、血中エストロゲン濃度の低下などが認められると更年期障害と診断される。
治療法は、ホルモン補充療法(HRT)が基本だが、女性ホルモンに似た働きをするエクオールというサプリメントも有効だ。痛み止めには非ステロイド性抗炎症薬などが用いられる。
太田医師は「更年期は人生のちょうど折り返し地点で、更年期障害を最初の加齢変化として受け入れる気持ちが大切です。ただ、心身の不調が続くことで、社会的に活動する意欲などが低下しますので早めに治療を始めましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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