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諸外国に例を見ないスピードで進んでいる日本の高齢化。団塊の世代が75歳を迎える2025年には3人に1人が高齢者となり、増加の一途をたどる社会保障費の確保が急務となっている。近年、バイオなど高額医薬品が続々と登場したことも、医療費負担の増加に拍車を掛けている。そこで注目されているのが、価格の安いジェネリック医薬品(後発医薬品)だが、その品質に不信感を抱いている医師や患者も少なくない。ジェネリック医薬品の調査を行っている国際医療福祉大学教授の武藤正樹医師に、ジェネリック医薬品の品質や安全性、将来の見通しなどについて聞いた。
◇シェアは6割弱
武藤 2015年の厚生労働省の調査によると、国内のジェネリック医薬品のシェアは56.3%です。国の指針では2020年に8割を目標としていますので、まだ足りていないのが原状です。医薬品の特許は20年で切れますので、現在流通している約1万7000の医療用処方薬の6割は既に特許が切れています。2010年以降、大型の新薬の特許が一斉に切れて、メーカーからジェネリック医薬品が続々と発売されています。ただ、ジェネリックを積極的に勧めない医師や薬剤師も少なからずいますので、患者の間にもジェネリックに対して効果があるのかどうか、副作用がないのかどうか不信感を抱いている人も多く見受けられます。
―医師や薬剤師がジェネリックを積極的に勧めないのはなぜでしょうか。
武藤 ジェネリックは新薬と同じ有効成分が同一量含まれています。国の審査機関であるPMDA(独立行政法人・医薬品医療機器総合機構)により厳しい審査が行われ、パスした物だけが承認されていますので、基本的には効果や効能は同じはずです。ただ、2015年の調査ではジェネリックを積極的には勧めない医師の8割が品質に疑問を感じています。信じられないことに、価格が半分だから量も半分、効き目も半分だと思いこんでいる専門家もいるのです。中には、「溶けないでお尻からそのまま出てくる」「動物試験でしか効果を確かめていない」と思っている医師もいます。薬剤師の方も、薬の切り替えに当たって説明するのが面倒だとか、在庫を抱えるのが負担になるとか、種類が多くてどれを選べばよいのか分からないなどといった、品質的な問題だけでなく管理面や経営的な理由でジェネリックをあえて勧めない傾向があります。
国内の後発医薬品メーカーは販売だけの会社も含め、140社から150社あります。特許が切れると後発医薬品がゾロゾロと出てくることから、医師の間では「ゾロ」と呼ばれ新薬に比べて軽視されてきた風土があります。それをまだ引きずっているのです。一方、患者の側は「できるだけジェネリックを試したい」と「取りあえずジェネリックを試したい」と回答した人が約46%と、価格が安いことに高い関心を持っています。
(2017/02/09 17:26)
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