ジェネリックへの誤解解く=武藤正樹医師に聞く(上)
◇品質は新薬と同じ
ー患者から「ジェネリックに変えたら効かなかった」という訴えもあるようですが、本当に効果は同じなのでしょうか。
武藤 有効成分が同じであっても、製造工程や添加物は同じではありません。レストランに例えると、材料は同じでも、作る人(シェフ)と作る場所(キッチン)、調味料が違うのです。つまり、作り手や作り方が違うわけで、完全に同一の物ではありません。添加剤も違いますが、新薬メーカーであっても製品改良の際には違う添加剤を使用することもあるので、珍しいことではありません。工業製品である以上、製造過程により品質にブレが出ることもありますが、これは先発品(新薬)であっても同じことです。
ジェネリックは原薬(原料)を中国やインドから輸入した粗悪なものを使っているのではないか、と指摘する人もいます。しかし、先発品の大手メーカーであっても、ジェネリックメーカーとの競争にしのぎを削るようになった今では、安い原薬を求めて世界中から輸入するのは当然の流れです。米国の大手製薬メーカーの先発品でもインドで原薬を製造しアルゼンチンで加工、本国ではパッケージして売っている製品もあります。製薬は国際分業で成り立っている産業でもあり、このような製造方法は一般的に行われています。
ジェネリックも厳しい審査を受けて、パスしたものだけしか承認されませんので、粗悪なものが流通することはほとんどありません。
また、ジェネリックメーカーの中には、新薬メーカーの商品を受託して製造している会社もあります。つまり、ジェネリックメーカーが作った製品に先発品のパッケージを貼って販売しているのです。今後、ジェネリックのニーズがどんどん高まっていくと、先発品メーカーもジェネリックの市場に参入してきます。新薬メーカーが特許の切れた新薬(先発品)のジェネリックを製造し、「オーソライズドジェネリック」として発売することもあります。新薬メーカーのジェネリックをジェネリックメーカーが製造することが一般的に行われるなど、医薬品の製造は大変複雑なため、先発品だから品質に問題がないとは一概には言えないのです。(ソーシャライズ社提供)
〔後半へ続く〕ジェネリックへの誤解解く=武藤正樹医師に聞く(下)
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(2017/02/09 17:26)