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~アレルギー患者で活性化(信州大学医学部付属病院 柳沢龍准教授)~
鼻がムズムズして、鼻水やくしゃみが止まらない。目などがかゆくなる。「国民病」ともいわれる花粉症は、スギやヒノキなどの花粉を原因とするアレルギー性鼻炎の一つだ。これから本格的な花粉症の季節を迎えるが、新型コロナウイルスと症状が似ているために誤解を受けるようなことも予想される。花粉症の専門医は、早めに医療機関を受診するようアドバイスする。
花粉症に悩む人は多い
◇診察に時間がかかる
「本来、アレルギー性鼻炎の診断には、鼻の奥である鼻腔(びくう)の診察が欠かせない。しかし、ここは新型コロナウイルスの一番の繁殖場所である上に、診察しようとのぞき込む際にくしゃみをさせてしまうリスクも高い。現状では、コロナ対策を踏まえて診察する側は一定の防護措置を取る必要があり、診療に時間がかかる」
こう語るのは、日本医科大学の後藤穣・准教授(耳鼻科)だ。
例年以上に診察に時間がかかるだけでなく、症状が出てからでは新型コロナに誤解される恐れもある。毎年花粉症に悩まされているのであれば、後藤准教授は「いつもより早めの受診」を勧めている。地域差はあるが、今年の花粉の飛散は早くて2月上旬と予想されていた。できれば、花粉の飛散前に耳鼻科を受診した方がよいだろう。
アレルギー性鼻炎が起きる鼻腔の位置
◇遠隔診療も視野に
悩ましい点がある。花粉症が最も激しい時期は、3カ月前後にわたる。通常薬の処方は1カ月分程度とすることが多いため,複数回の受診が必要になる 。
後藤准教授は「毎年治療が必要な花粉症は、ある意味で慢性疾患と言える。そうであれば投薬などのパターンもある程度決まっている」とし、「2回目以降の診察はオンラインや電話などによる遠隔診療に切り替えることも可能だろう」とアドバイスする。その上で、治療薬の処方も含めて、一度は医師や医療機関の窓口で相談するように勧めている。
◇受診困難な際の備えを
服薬を続けていても鼻水が止まらなくなったり、目のかゆみが強くなったりすることはある。通常であれば、再度診察を受けて処方を見直されるが、新型コロナの流行次第では受診自体が難しくなるケースもあるだろう。その備えも考えておきたい。
「治療を受けながら症状が悪化した経験があるなら、医師に相談し、増悪時に備えてより効果の強い薬も処方してもらうのが一番だ」と後藤准教授は言う。局所的に炎症を抑える点鼻ステロイド剤や点眼薬を加えることが一般的とされる。薬局などで医師の処方箋がなくても購入できる市販薬でも同種の薬はある。受診が難しければ、このような薬で対応することも可能だ。
診察中の後藤穣・准教授
◇市販薬も選択肢
市販薬については、今シーズンに初めて花粉症を発症した患者にも使える選択肢がありそうだ。
「アレルギー反応を抑えるため、花粉症治療の中心になっている内服の抗ヒスタミン剤だ。眠気などの副作用の少ない薬が『アレルギー性鼻炎治療薬』として、市販薬として販売されている。医療機関への受診に抵抗があれば、点鼻ステロイド剤などと組み合わせて使い、症状が収まらなければ耳鼻科を受診するという選択も、コロナが流行している状況ではあり得るのではないか」
もちろん、マスクの着用や帰宅時などで家に入る前に花粉をはたき落とすなどの自衛措置は欠かせない。また、目を刺激しやすいコンタクトレンズの使用を花粉シーズンだけでも眼鏡に切り替えることも考えたい。かゆい目を手でこする際に、眼球の粘膜から手に付着していたコロナウイルスが体内に入って感染してしまう可能性があるからだ。
コロナ対策と同様に、後藤准教授もマスクの使い方に注意を促す。「息苦しいのだろうが、鼻をマスクから出している人が少なくない。しかし、これでは花粉やウイルスを含む飛沫(ひまつ)などを吸い込んでしまう。どんなに性能がいいマスクでも、これでは役に立っていない。鼻の上までマスクを引き上げてほしい」と、呼び掛けている。(了)
(2021/01/29 12:00)
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