2024/11/06 05:00
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「この薬は飲んではいけない!」
「飲んではいけない薬ランキング」
こんなタイトルの記事を、週刊誌やインターネット上で見ることがよくあります。こうした記事に影響され、本当は必要なはずの薬をやめてしまい、病状を悪化させてしまう患者さんも少なからずいます。
写真はイメージです【時事通信社】
本当に「飲んではいけない」ような、危ない薬が売られているのでしょうか。
もちろん、そうではありません。
◆薬を「飲んではいけない」場合とは
薬の中には「飲み合わせ」に注意すべきものがたくさんあります。
例えば、一緒に使用すると副作用リスクが高まったり、効果が弱まったりしてしまう組み合わせがあるのです。薬同士が起こす、このような悪い作用を「相互作用」と呼びます。相互作用が理由で「飲んではいけない薬」なら、多く存在します。
また、特定の持病を持つ患者さんが「飲んではいけない」、あるいは、少ない用量で使用しなければならない薬もあります。心臓や肝臓、腎臓の機能が悪い人が使用できない薬もあります。強い副作用が現れる危険性があるためです。
以上のように、誰もが一律に「飲んではいけない」危険な薬があるわけではなく、どんな薬にも、使用に注意すべきシチュエーションがあるのです。
あらゆる化学物質は、その量に応じて薬にも毒にもなります。副作用リスクのない薬はありません。副作用のリスクより、薬から得られるメリットの方が大きいシチュエーションでは、むしろ薬を使わなければなりません。
週刊誌やインターネット上の記事は、あえて扇動的なタイトルをつけて読者の興味をひいたり、分かりやすさを優先して、解説をシンプルにまとめたりしているものです。大きな誤解をしないよう、注意が必要です。
◆薬をやめるにも技術が必要
もちろん、患者さんが薬の内服を中断しなければならないシチュエーションも、実際にはあり得ます。
「副作用が目立つようになってきた」「薬の効き目が薄れてきた」「他の持病の悪化によって使える薬が制限されるようになった」といったケースはよくあります。
このような場面であっても、突然、薬をやめてしまうと、かえって危険な場合があります。ゆっくり減量しなければならない薬や、別の薬に置き換えなければならない薬などを急に中断すると、病状を悪化させる恐れがあるためです。「薬を始める」のと同様に、「薬をやめる」にも技術と専門知識が必要なのです。
週刊誌やネット上の記事の影響を受けて薬をやめてしまうと、自らの体を危険にさらす恐れがあります。薬に関して疑問があるときは、自己判断で薬を中断せず、処方している医師に相談するのがお勧めです。
この点には、くれぐれもご注意いただきたいと思います。
(2021/05/05 05:00)
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