一流のレジリエンス~回復力~Dr.純子のメディカルサロン

結婚後の受診でいきなり「人工肛門になるかも」と言われ アメリカ英語発音トレーナー・中島小百合さん

 30代で幸せな結婚をして、「さあ、子どもが欲しいから健康診断」と思い、婦人科を受診したら、いきなり「すぐ手術が必要。人工肛門になるかもしれない」と言われたらどんなにショックでしょう。

明るい中島さん

 中島小百合さん。英語の同時通訳や翻訳で活躍する、明るい笑顔の女性から「私、ストーマ(人工肛門)なので」と告げられた時は、ちょっと信じられない気持ちがしました。

 そして、思い切って取材を申し込みました。

 中島さんを知ったのは、海外からの一流ボーカリストが行うワークショップです。そこで見事な通訳をしていたのが中島さん。米国ボストンにあるバークリー音楽大学を卒業した後、雑誌の企画で管楽器を演奏し、専門学校で歌を教え、ブラスバンドの指導やボーカルでのステージ活動、数々の翻訳や通訳をしていました。みんなが「ユリ先生」と呼ぶ中島さんの第一印象は、きれいで、元気で、スタイルがよくて、英語がネイティブで、とにかく明るい方というものでした。

 ◇不調でも病気に気付かず

 海原 私、最初にストーマと聞いた時、「まさか」と思いました。

 中島 2015年に結婚をして、子どものことも考えて、検査をしておこうと思い、婦人科クリニックを受診しました。そうしたら、「筋腫と子宮内膜症がありますから、すぐ大きな病院に行ってください」と言われたんです。

 それで、近所の大学病院に行ったら、「これはかなりひどいので、うちでは無理です。子宮内膜症がかなり大きくなっているから、消化器外科と婦人科がある病院に行ってください」と言われ、別の大学病院を受診しました。

 CT(コンピューター断層撮影装置)や超音波で検査をしたら、内膜症が腸に癒着していて、「これはもう手術で人工肛門になるかもしれない」と言われました。

ステージに立つ中島さん


 海原 それはショックですね。

 中島 びっくりしました。いきなり人工肛門と言われて。もう行けなくなるからと、夫と温泉に行ったり、ディズニ―ランドに行ったりして。

 海原 それまで症状はなかったのですか。

 中島 生理痛はありましたが、生理痛だしと思い、鎮痛剤で抑えていて。ただ、便が細くなっていて、便秘がひどくなり、お尻にイボまでできてしまって。病院を受診して、処置をしてもらっていました。

 痔は何回か、便秘がひどくて、繰り返し受診して、処置しました。今思えば、腸管内膜症の癒着で、腸の通りが悪くなっていたのが原因だったわけですが、その時は、病院でも「またですね」くらいで終わっていました。

 そのうち、生理痛もだんだんひどくなって、鎮痛剤を飲んでも、動けないくらいになり、夫に「それはちょっとひどくない?」と言われて。

 海原 ずいぶん我慢してしまったんですね。

 中島 そうですね。でも、この年代(30代半ば)の女性は、仕事ができるようになってきて、なかなか仕事を休めなくて、検査に行くのが遅れてしまう傾向はありますね。

 私がこういう病気になったから、女子高時代の同級生が何人か、自分も検査しようという気になって受診して、数人は筋腫が見つかったりしました。

 ◇12時間に及んだ手術

 海原 子宮内膜症は、子宮の内膜が子宮の筋層や卵巣、腸、腹膜にできるために、そこで生理時に出血してしまうんですよね。出血が外に出られなくて、腹腔内にたまり、腸や腹膜が癒着するんですね。よく腸閉塞を起こさなかったですね。

 
中島 腸閉塞の一歩手前でした。便も出にくくなっていて。私の場合は、腹膜や腸の癒着を剥がして、腸の一部を切り取る手術で、12時間かかりました。執刀した先生が「これまでの手術で一番大変でした」と。

 海原 手術をして、そのショックをどうやって乗り越えたんですか。

 中島 手術の前までは、先生から「なるべく人工肛門にするのは避けます」ということで、何とかなるかなと思っていたんですね。

 人工肛門だと分かったのは、ICU(集中治療室)から出て「人工肛門になりました」と言われてですが、その時はショックというより、術後、調子が悪かったので、考える余裕がなかったんです。

 術後、腸閉塞にもなり、ショックというより、「困ったなあ」というような感じで。「これから仕事をどうしよう」とか、「結婚したばかりで夫に悪いなあ」とか。ただ、それからしばらくストーマの扱いに慣れなかったりして。

雑誌の表紙を飾った中島さん(右)


 海原 日常生活がこれまでのようにいかないですよね。

 中島 外出の時に臭いが漏れたりしないかとか。あと、今の時期、お花見などがきついんです。トイレがどこにあるか分からなかったり、簡易トイレが並んでいたりすると、間に合わなかったらどうしようと不安になります。

 あと、花火やバーベキューも苦労します。困るのは、ジャズのライブです。トイレが少なくて、並んでますよね。

 コンサートもちょっと大変で。オストメイト(ストーマを装着した人)用のトイレに入ろうとして、おじいちゃんににらまれちゃうこともあって。「若い女が」なんて言われたりします。

 海原 元気そうに見えますからね。

 中島 なので、なるべくオストメイト用のトイレは、使わないんです。逆に、オストメイトが必要に見えないことは、それはそれでいいと思っています。

 私は、ストーマがあることは、隠すつもりは全くないんですが、ストーマだということを言い訳にして、仕事をしているようにはなりたくないんです。ストーマがあっても、日常を楽しく生きられる、ということができればいいと思っています。


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