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長期化するコロナ禍は、体のさまざまな場所に悪影響を与えている。スマートフォンやパソコン(PC)の長時間の使用が引き起こすドライアイも、この一つだろう。悪化すれば角膜の損傷や視力障害を招く危険性もあるだけに、早期の対応が必要と眼科医は呼び掛けている。
(堀教授提供)
「テレビの普及以降に近視が、PCやスマホの普及によりドライアイやIT眼精疲労などが増えている。今回の新型コロナウイルスによる社会活動の変化も、同じように目を酷使する人を増やしている」。東邦大学の堀裕一教授(眼科)は、マスクを着け続ける習慣やPCを使っての在宅勤務やオンライン授業がドライアイや眼精疲労の危険性を高めている、と警鐘を鳴らす。
堀教授は「PC画面に集中すると、人は無意識のうちにまばたきの回数が減ってしまい、眼球表面が乾燥して、ドライアイを引き起こしてしまいます」と説明する。
なぜ、まばたきの回数が減るとドライアイになるのか。眼球表面は角膜細胞が露出していて、非常に敏感な臓器であると共に、外部からの異物などに弱い。普段は、まばたきのたびに涙で角膜表面を洗いながら膜をつくることで、眼球を保護している。まばたきの回数が減ると眼球表面が乾燥してしまい、異物などにより表面細胞が傷つくことになる。
堀教授は「角膜が傷つくと目のかすみや痛み、違和感さまざまなトラブルの原因となり、回復が難しい場合もある」と指摘する。
(堀教授提供)
また、新型コロナの流行によるマスク着用がドライアイを一段と誘発しているという。「マスクをしていると眼鏡が曇ってしまうことがあるでしょう。呼吸で吐き出された息がマスクの隙間から漏れて、眼鏡を曇らせる。同じように息が目に当たると、眼球表面を乾燥させてしまって、ドライアイを誘発してしまったり、他の原因で起きているドライアイを悪化させたりしてしまう」。教授はこの「マスクドライアイ」の症状を警戒するよう呼び掛けている。
もちろんマスクを着用しながら長時間にわたってPCやスマホの画面を注視し続けていれば、ドライアイになる危険性はさらに高まる。使用時間の制限や休憩を入れるなどの自衛策を欠かさないようにと、堀教授はアドバイスする。(了)
(2021/06/28 05:00)
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